第8回 小池 聡氏 – 法政大学MBAとの共同講座 2007/1/25 (2)
2016-05-14起業のリスクについて
- 平石:
- ベンチャー投資は、 確率論で言うと失敗するほうが多いですが、 成功しそうな事業や企業家に、 共通する特徴はあるんでしょうか?
- 小池:
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ポジティブシンキングの人ですね。 心配性の人はリスクは少ないけど、大きくなりにくい。 私がやっていた事業も今までにないビジネスだったんです。よって、予想通りいくはずがない。 つまり、結局は仮説の設定、検証を続けられる人 だと強いですね。 楽天も、サイバーエージェントもオン・ザ・エッジも、 最初にやっていた事業に今はあまり注力していない。 だとすれば、見るのは人ですね。あと、共通して言えるのは目力のある人が好きですね。 目を恣意的に見たりもしますが、 人の目を見ないで話す人もいます。そういう人もいる中で、目を見て話せる人も強いです。
仕事で大事にしていること
- 平石:
- 小池さんが仕事をされる中で最も大事にされていることは何ですか?
- 小池:
- これは、上場のときにも誓ったことなんですが、ライブドアショック、 村上ファンドなどの事件もありましたけど、 「真面目にやろう」ということですね。 いろいろなチャンスはある中で、 誰にも恥ずかしくないことを真面目にやろうと思っております。
これは、上場のときにも誓ったことなんですが、ライブドアショック、 村上ファンドなどの事件もありましたけど、 「真面目にやろう」ということですね。 いろいろなチャンスはある中で、 誰にも恥ずかしくないことを真面目にやろうと思っております。
実際に、誘惑はいたるところにあるんですよ。 社会的によくないこと、法の抜け道などですね。 それでも、こういうことは決してやるまい、と思っております。
今後投資したい分野
- 平石:
- 今後こういう分野に投資したい、という分野はありますか?
- 小池:
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バイタミンかアスピリンか、という話がアメリカにあります。 ビタミン剤か鎮痛剤か、ということですが、本当に熱が出たときは、 鎮痛剤を飲みますよね。バイタミンは気休め程度にしかならない。 つまり、本当に必要なものではない、ということですね。
こ れをビジネスにたとえると、バイタミンではなくアスピリンのビジネスを狙え、 というのがあります。本当に必要なものはやはりビジネスがきちっと成り立っていて、 地に足が着いている。要は、効くかどうかわからない、必要かどうかわからないというビジネスよりは、 ユーザーが必要としている、社会に役立つものである、 ということですね。
日本の起業家にはグローバルな視野を持って、 ビジネスをしてもらいたいというのがあって、それぞれマーケットで小さくニッチなところを狙う、 というのは全然構わないんですけど、 あまりにグローバルレベルで必要なビジネスが少ないので、 そこは非常に不安ですね。
アメリカでも投資をやっていて、 色々なビジネスプランが送られてくるので見ますけど、やはりマーケットとしては、グローバルな見方をしている。つまり、「北米ではこれくらい、欧州ではこれくらい、 アジアではこれくらいのビジネスになります」 という分析の仕方が多い。
ところが日本ではアメリカとは違うので 「アメリカではこれくらいのマーケットがあります。その何分の一かが日本のマーケットになるでしょう。その何パーセントのシェアをとります」 と言うような人しか来ませんね。 ですから、世界を狙っていけるような、ベンチャーがもっと出てきて欲しいですね。