予定よりも一週間遅れて「企業家とは何か(J.A.シュンペーター、清成忠男訳)」を読了。
評判どおり、シュンペーターの文章は回りくどく読み難い本だったが、得るものは多かった。
「いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ」と併せて、後日、書評を書きたいと思う。
さて、今年3冊目の本は、クリステンセンの「イノベーションへの解」。
読みかけのままの「イノベーションのジレンマ」を読もうと思ったら、山川さんから「こっち(解)を読んだ方がいいです」と勧められた。
まだ30ページほどしか読んでいないが、とても示唆に富んだ内容で、読了した時に何を得られているのか?が今から楽しみな著作だ。
話は変わるが、1997年の発足当時から登録をしている「surveyml(当時は Internet Survey Watch と言っていた)」という「メーリングリスト(ソーシャルメディア全盛の今となっては古典的な香りが漂う)」で、とても示唆に富んだポストがあった。
投稿主は、高広伯彦氏。
その内容は、自分の考えが「自分の考えているとおり正確に相手に伝わることはない」ということ。
一説によると、自分の考えや想いを言葉にした瞬間、伝えたいことの「70%」しか伝わらず(受け手の理解力にもよる)、それを受け取った相手がまた別の人間に伝えるとさらに「70%」となり、階層を2つ経ると、自分が伝えたいことの「49%(半分弱)」しか伝わらないらしい。
つまり、講演等で自分の伝えたいことを伝えようと思うなら、言葉の定義を明確にし、解釈が人によって幅がある題材や表現はできるだけ避け、メッセージをシンプルにする必要がある。
僕のブログにしても、僕が言いたいことが100%伝わることはなく、僕を直接知っているか?また、その付き合いが深いか浅いかで、僕のブログの「コンテクスト(文脈)」や「行間」に対する理解が大きく異なるのは間違いない。
それを踏まえて書く必要があるということだ。
また、この話題に絡むことで、もうひとつ、高広さんはシャープな指摘をされていた。
Twitter や facebook 等のいわゆるソーシャルメディアでの情報発信&受信が多くなってきた現在は、情報の発信力が増幅され、広範な意見交換が可能となっているというポジティブな面がある一方、自分が発信したテーマに関する共通の知識・理解のない人に、自分の意図することとは異なる「解釈」がされ、不必要な誤解や軋轢を生むというリスクも存在する。
高広さんが言うように、オープン過ぎるソーシャルメディアは、時として「コンテクストレス」な状況を生み出すということだ。
僕がどちらかというとTwitter よりも facebookを好む理由のひとつでもある。
また、未だにこうしてブログを書いているのは、字数制限もなく、自分の伝えたいことが伝えられるからという理由が大きい。
さらに言えば、コンテクスト(共通する知識・理解と関係性)を共有できる人達とのプラットフォームが欲しいと思っている。
インターネットリサーチ研究会が機能したのは、黎明期のインターネットリサーチを普及させたいという「インタレスト(問題意識と目的)」と「コンテクスト(共通する知識・理解と関係性)」を持っていたからだと思う。
そういう意味では、どうすれば「イノベーション(革新)」を起こせるか?「イノベーティブな組織であり続ける」にはどうすれば良いか?という共通の「インタレスト(問題意識と目的)」と「コンテクスト(共通する知識・理解と関係性)」を、研究者という立場ではなく、実際に「ビジネス」を立ち上げようとしている(&既にしている)人達と共有できるプラットフォームが創れたらと思う。
マズローは、実は「(自分が属する)コミュニティ発展欲求」という「6段階目の欲求」の存在に気がついていたらしい。
The PIECs(The Platform of Innovation and Entrepreneur’s Community)
こんな感じのプラットフォームを創りたい・・・。
そういう意味では、法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科での仕事は、そこへ繋がる「コンテクスト」を持っているような気がしている。
追伸:昨年の今頃の僕は、Twitter の魅力に取り憑かれていたようだ・・・。何事も性急な判断は危険であるw。