アイスタイルの吉松さん

11/13(月)の夜、法政大学と共同で運営しているオープン講座に、アイスタイルの吉松さんが来てくれることになった。

吉松さんと初めて会ったのは2002年の秋だったと思うが、アイスタイル(@コスメ)というサイトが出現したことは、2000年頃にウェブ上のリリースか何かで知った。

「このサイトは必ず化ける(成功する)だろうな・・・」と思った。

そして、見事に化粧品業界では知らない人はいないほど、@コスメはユーザーの支持を獲得し、アイスタイルという会社は成長を続けている。

聞くところによると、創業当初のオフィスは、トレイもなく?滅茶苦茶な環境だったらしい。そして、役員報酬も初年度はゼロ。しかし、そんな現実にもかかわらず、吉松さんや山田メユミさん(@コスメ主宰)やアイスタイルに賭けたスタッフが集まり、今の会社を創ったという。

何がアイスタイルの魅力なのか?何が吉松さんの原動力となっていた(いる)のかを聴けるのが楽しみである。

愚直な実践は、優れた戦略を凌駕する。

2年連続賞金王の「片山晋吾」選手が、昨日の最終日、コースレコードと自身の最少ストロークを更新して逆転優勝をした。今シーズン3勝目である。

彼は僕と同じぐらいの身長で、体格に恵まれているわけではないが、かなりストイックに筋力トレーニングに励んでいるとのことで、体重は僕よりも10キロ近く多い。

新聞で読んだ彼のインタビュー記事に「2001年以来の年間3勝であるが、あの時とは価値が違う(今回の方が価値がある)。当時は打てない球が打てるようになり、飛距離も伸びた」という発言があった。

数字には表れない価値があり、そして、その価値が「数字」を支えていることだろう。

そう言えば、僕が最近よく読んでいるブログにベンチャーキャピタリストの辻さんという人のものがあるが、

「決めたことを実行する、という愚直な実践は、優れた戦略を凌駕する。愚直な実践を通して、ビジネスモデル(儲かる仕組み)は磨かれていく」

と書いている。

今までの僕はこの部分の努力が足りない。

身内の話しで大変恐縮であるが、僕の妻は30才を過ぎて大学に編入し、更には大学院に編入したが、その課程での2度の受験期間中は、毎日12時間も勉強をしていた。

そして、英語が大の苦手だった彼女が、今では英語の原書を読んでいる。

人間、努力に勝るものはないということだろう。

こうして書くことは誰にでも出来るが、実際に自分を律するのは簡単ではない。

経営者のオーラ

つい先日、ある事業開発の件で、一部上場企業の経営者とお会いする機会があった。

その方とは以前にも何度かお会いしたことがあったが、久しぶりにお会いした先日、経営者としての「オーラ」を感じた。

僕とほぼ同じような年齢であるにもかかわらず、そのオーラはどこから来るのか?ということを、MTG中、ずっと考えていた。

それは、「利益や株価」という「数字」に対する責任からくるものだろうと思う。

言葉の定義にもよるが「起業家」が「夢やビジョン」を最も大切にする人だとしたら、「経営者」は「利益」に対する責任を持ち、「全体最適」を求める人のことを言うのだと考えている。

その方はほぼ「創業経営者」と言ってよいと思うが、以前にも増して「経営者」というオーラを発していた。

自分自身を振り返ってみると「起業家」として「夢やビジョン」を最も大切にしてきたのは間違いないが、「利益」を出すことと「全体最適」を図ることに関しては、及第点に至っていなかったと思っている。

今度の会社は「ドリームビジョン」という社名を冠したわけだが、「利益」を上げることと「全体最適」に拘っていこうという想いを刺激された。

とても貴重な時間だった。

花王アジエンス V.S. 資生堂TSUBAKI

僕の拙い知識が正しければ、10%以上のシェアを取れればシャンプー市場ではトップクラスのブランドとなる。つまり、非常に細分化されたマーケットである。

1年以上前のことになるが、花王の「アジエンス」の開発責任者の方のお話を伺ったことがある。

シャンプー市場は「清潔」というベネフィットと「美しさ(華やかさ)」というベネフィットのふたつのカテゴリーに大別することができ、花王は「清潔」マーケットにおいては「メリット」というトップブランドを持つリーディングプレイヤーであるが、「美しさ(華やかさ)」マーケットにおいては外資系ブランドの独壇場となっており、今までにそのマーケットで勝ったことがなかったらしい。

その市場において、「これでダメだったら、もう諦める」というぐらいの覚悟で臨んだ(開発した)のが「アジエンス」だったという。そして、見事に成功を収めた。

そこに化粧品関連のトップブランドのプライドを賭けて真っ向勝負をかけてきたのが、資生堂「TSUBAKI」である。

この戦いの本質は、海外ブランドが支持されている「美しさ(華やかさ)」マーケットにおいても、欧米コンプレックスではなく、アジア人としての「誇りや美しさ」に自信を持とうというメッセージにあると思うが、欧米v.s.アジアという構図でマーケティングをしている「花王」に対して、ストレートに「日本人」ということを打ち出している「資生堂」という点が興味深い。

更に言えば、他のメーカーをも巻き込んだ「アジア&日本」という訴求競争を巻き起こしており、ある種の「ナショナリズム・マーケティング」とも言える。

花王の戦略は、「欧米v.s.アジア」という訴求が、資生堂の「日本(人)」という訴求に対して説得力を維持できるか?という課題を抱えており、資生堂の戦略は、メンツをかけて「旬の日本人女優」をこれでもか?というほどに投入しているインパクトを維持できるのか?(かなりのマーケティングコストであるのは間違いない)という課題を抱えており、それぞれの今後に注目したい。

マーケティング戦略という意味で、久々に興味を持った事例である。

記録よりも「記憶」。

日本ハムの新庄剛志選手が、メジャーリーグ時代に記者会見で言った言葉である。

記録(数字)ではイチローには敵わないが、「記憶(印象)」では彼に勝るとも劣らない自信があるということを言いたかったのだろう。

スポーツが好きで単純な僕は、昨夜のニュースで涙目でバッターボックスに立っている新庄をみて、目頭が熱くなった。

日本のプロ野球界に対する彼の功績は計り知れないと思う。

自分の持ち味を理解し、Only One の何かを打ち出すことが、新庄のような魅力に繋がるのだろう。

そして、あの辛口の野村監督をして、「あれだけ攻走守そろった選手は、そうはいない。(引退するのは)勿体無い」と言わしめている。

彼の生き方から、何を学べるだろうか?

ミハエル・シューマッハ

F1に興味のない人でも、彼の名前ぐらいは知っているだろう。アイルトン・セナなき後のF1界を引っ張ってきたミハエル・シューマッハが遂に引退した。

僕はセナの大ファンで、彼が事故死をした時は、1週間ぐらいは立ち直れず、当時、婚約中だった妻が、結婚を延期しようか?と言ってくるほどに落ち込んでいた。

そのセナに憧れていたシューマッハのことを僕は特に好きだったわけでもなく、ファンだったわけでもないが、彼のことで、とても強く印象に残っていることがある。

それは、セナの持つF1での優勝回数である「41回」という記録にシューマッハが並んだ時の記者会見での彼の姿だ。

シューマッハは、鉄のような意志の持ち主(だと思う)で、自分の感情やモチベーションを常に最高の状態にコントロールして、つけ入る隙がないような人に見えていたが、その記者会見の席で、なんと泣き崩れてしまったのである。

セナに憧れてF1の世界に入り、そのセナに追いつき追い越そうと頑張っていた25才の時、シューマッハの目の前を走っていたセナがマシントラブルにより事故死をし、そのセナの後を継いで必死になって頑張ってきたシューマッハにとって、セナの偉大なる記録に並んだことは、何とも表現できない、僕らのような凡人には到底想像すらできない想いがあったのだろうと思う。

しかし、別の見方をすれば、ターミネーターとまで呼ばれていたシューマッハも、内心では必死になって「自分自身と戦っていた」のではないか?と思われ、彼の人間らしさを垣間見た瞬間だった。

そのシューマッハが、今期限りでF1を引退すると表明した後、テレビで放映される彼の表情には、とても晴れやかで和やかなものが感じられた。

ある極限まで上り詰め、自分の限界ギリギリのところで生きていた人だけが判り得る、充実感があるのだろう。

マラソンの有森裕子さんが、自分で自分を褒めたいと思うと言っていたことがあるが、ストイックにそこまでの努力ができる人だけが、何かをつかめるのだろう。

経営理念

人材紹介のビジネスを行うようになって、当然のことだが同業他社のことを勉強するようになった。

その中で、なぜ、人材紹介業を行っているのか?について、とても丁寧に書かれている会社がある。
ベンチャーエントリーという会社である。

この会社のことは、数年前から知っていたが、昨晩、同社の経営理念を読ませていただいた。
とても素晴らしい内容であり、それは文章だけではなく、社長の辻口さんの本心だと思う。リアリティを感じた。

辻口さんは、2000年に「MBO(マネジメント・バイアウト)」をして、この会社の社長になった。それ以来、様々な挫折を経験しながら現在に至っているという。

その辻口さんが考える「いい会社」とは、

「私(社員)はここで何をすべきなのかが分かる。私は会社の方針に心から納得している。私は貢献している。私は必要とされている。私はコミュニティの一員になっている。私は日々向上している。私は大切にされている。私は会社が成長し発展していくことが嬉しい。私の人生は私がコントロールする。私は後に続く人達にとって恥ずかしくない存在だ。」と社員に言ってもらえるような会社が、いい会社だと考えています。

当社の事業理念は「人材紹介事業を通して、日本に希望を与えたい」というものです。これは私が直接社会に希望を与えるのではなく、当社に勤務する社員たちが活き活きと活躍して、当社の社員と接してくださる方々に希望をお届けするのです。そのためには当社の社員たちに「自分たちはいい会社に勤めているよね」と心から感じてもらって、活き活きと活躍してもらわなくてはなりません。

と書いている。

また、

私が当社の株式を100%保有しているのも、外部株主などの意向を一切気にすることなく、ひたすらに社員のためを思うことで終始するためなのです。

と書かれている。

ベンチャー企業というと、大きく先行投資をして、会社を急成長させて、4~5年で株式公開をし、経営者は創業者利益を得て、VC等の投資家は大きなリターンを得る、ということが当然のことのように思える昨今であるが、そんな時代において、辻口さんの考え方は、一本、筋が通っていると思う。

何のためにリスクを取って会社を興し、何のために苦労をし、何のために仕事をしているのか? そのことに対する明確な答えが書いてある。

いつか是非、お会いしてみたい方である。

そして、ドリームビジョンをベンチャーエントリーに負けない「いい会社」にしたい。