何週間か前のエントリーでも書いたが、未曾有の不況の影響せいか、「終身雇用」を望む若い人が増えている。
新卒で就職した会社に、結果として、定年退職まで勤めることがあってもいいし、本人が望むのであれば、それが叶えられるのは良いことなのは間違いない。
しかし、最も大切なことは、「様々な選択肢」があり、生き方や働き方の「多様性」が担保されている社会を実現することである。
一生懸命に就職活動をしても、就職した会社の社風が肌に合わなかったり、仕事の内容に興味を持てなかったりと、転職をしたくなる人も大勢いるだろうし、そういう人たちの「受け皿」がない社会は、健全とは言えない。
会社の経営においては「価値観を共有する人たち」と仕事をする、つまり、「誰をバスに乗せるか?」が重要なのは論を待たないし、その方法として「新卒」の方が、転職者と異なり、他社の価値観(DNA)を持っていない分、自社の価値観に合う人だけを採用しやすいという点においてメリットがあるのは事実である。
しかし、それはひとつの方法に過ぎず、効率は悪いかもしれないが、新卒だろうが転職者だろうが、自社の価値観に合う人材だけを採用するノウハウ(それほど難しくはない。大変なのは、時間がかかることである)を持っていさえすれば、問題はない。
因みに、僕が個人株主のひとりとして応援しているライブレボリューションの増永さんは、2年ほど前から「新卒採用のみ」という方針を打ち出している。
期首に予想したよりも事業が成長した場合、途中での人材補強ができないという制約を伴うわけだが、それを承知の上でのことであり、ひとつの方法だと思う。
僕が経営者だったとしたら、そういう方針は採らないと思うが、未公開のライブレボリューションに新卒の応募が何千人もいることが同社の魅力を物語っており、少なくとも現時点では、増永さんの方針は奏功していると言えるだろう。
改めて申し上げるが、僕は「選択肢の多い社会」、言い換えれば、「主体性」と「多様性」に満ち溢れた社会が理想だと思っている。
ところで、話が後戻りするかもしれないが、僕がまだ20代か30代の前半だった頃、ちょうど終身雇用が崩壊しつつある時期だったと思うが、右肩上がりの「経済成長」が続かなくなり、20代よりも30代、30代よりも40代と所得が上がっていくことが保証されなくなると、いわゆる「家族計画」が立てづらくなるだろうと思っていた。
つまり、「将来の収入が保証されない時代」になると、子供を産んで育てていくことが「リスク」になり、「少子化」が進むだろう、と漠然と思っていた。
何故なら、自分自身が「終身雇用」という「安全弁」から自らの意思で飛び出していたので、「年齢の上昇」が「所得の上昇を保証しない」ということが、よく分かっていたから。
即ち、子供の「養育費」が必要になる頃に、それを賄う収入がある保証はないし、むしろ、収入が減る可能性すらあると思っていた。
そういう意味で、これからの社会においては、税収における「子育てのための投資(保育園や育児手当、公立校の運営費等)」と「年金(老後の生活資金)」の配分が、今までにも増して大切になるのは、こうしてブログに書くまでもない。
因みに、日本は、OECD加盟国中、GDPに占める「教育費」の比率が、下から数えた方が早い位置にある。
たしか、平均「5%」に対して、「3%」程度だったと思う。
また、「年金」に関しては、今朝の日経新聞にも出ていたが、年金を「所得税」で賄うか?それとも「消費税」で賄うか?の議論、つまり、勤労者から徴税し、それを、現時点の高齢者に「再配分」するか(納税者=受益者にはならない)?経済的に余裕のある高齢者は、自らも「消費者=消費税納税者」として、自分達よりも経済力が劣る同世代に「再配分」するか?という議論が必要になってくる。
政府(行政)の重要な役割のひとつは「徴税権」に立脚した「富の再配分」機能にあると言ってよく、にも関わらず、現在の政府には「再配分」における「思想」がない。
正確には、あったのだろうが、今の時代に機能しなくなったのだろう。
「高齢者が多い=有権者に占める割合が多い」というだけで、高齢者に優しい政治を行っていては、いずれ、この国は崩壊する。
「中央集権」v.s.「地方分権」の議論も含めて、どういう「思想」と「システム」の国にしていくのか?
その議論が、子供達のためにも、自分達の老後のためにも、本当に本当に、必要である。
自分が総理大臣だったら、どうするか?
そういうマクロの視点に立ち、自分自身の生活(ミクロ)を考えてみよう。
「終身雇用」の是非から始まり、徴税に関する話しも含めて、政治・行政の話にまで及び、何のエントリーだか分からなくなったが、今年上半期最終日に、このところずっと書こうと思っていたことを書いておきたかった。
さて、明日から後半戦。
また、「坂道」を登って行こう。自分のペースでね。