昨晩は久しぶりにウェブクルー(東証マザーズ)の創業メンバーで集まって食事をした。
因みに、集まったメンバーは、渡辺さん(創業社長で現在は取締役相談役)、渡辺通世さん(渡辺さんの妹さん)と僕。
2009年春にゴルフに行って以来だったので、一年半ぶりだった。
因みに、集まった場所は、ウェブクルーが経営する、渋谷のセンター街の奥にある「小肥羊」という中国の火鍋料理の店。
行き帰りのセンター街を歩きながら、今の日本を覆っている閉塞感の一端がここにあると思った。
どう見てもまともな仕事をしているとは思えない若者があちらこちたに立っている。
ところで、昨日の日経朝刊に、来春の新卒者の「内定率57%」という数字が載っていた。
この数字の意味することは何だろう?
ひと言で言ってしまえば、日本には、大学を卒業する若者の2人に1人分しか「仕事がない」ということだ。
東証一部上場企業の業績が急回復していると言っても、それは「新興国」の需要に支えられているわけであり、移民を受け入れない限り人口が減っていく国内市場を担当する日本人よりも、新興国での雇用を優先する、ということだろう。
また、日本のように解雇規制が厳しい社会においては、正社員として雇用した人間はよほどの理由がない限りは解雇できず、これほどに変化が激しく事業の寿命が短くなっている環境においては、固定費としての人件費は、できる限り少なくしたいのは無理もない。
要するに、時代環境が悪化しても中高年の雇用は保障され、その分、若者の雇用が犠牲になっているということだ。
世界経済の構造変化を考えると、この「数字」は、そう簡単には改善されないだろう。
因みに、1990年代の「生産性の向上」と「労働人口の変化」を見ると、「建設業」では「労働生産性がマイナス」になっているにも関わらず、「就業人口が増えている」(「失われた10年と産業構造の転換」宮川努)。
つまり、バブル崩壊後に「赤字国債」を乱発して「需要のない地方公共事業」に膨大な資金を投入した結果である。
それは、一般会計における「税収」と「歳出総額(要するに支出)」と「公債発行額の推移」を見ればよくわかる。
平成元年(1989年)には「6.6兆円(それでも収支は赤字である)」しかなかった「公債発行額」が、現在では「44兆円」である。
しかも、「歳入」が「37兆円」しかないにも関わらずである。
アメリカ社会では「サブプライム・ローン」という過剰債務が弾けたとすれば、日本は「社会保障」や「公共事業(地方救済)」という美談のもとの「砂上の楼閣」が瓦解しそうになっている、ということだろう(因みに、野口悠紀雄氏/早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授によると、公共事業への支出よりも、社会保障費の支出増の影響の方が大きいという)。
また、そこには霜降り牛肉よろしく特殊法人が入り乱れているらしい。
さて、話を昨晩(ウェブクルー)に戻すと、ウェブクルーを創業する前は、渡辺さんも僕も、お互いに「マンションの一室」で細々とベンチャーをやっていた。
でも、幸運にもインターネットという「千載一遇」の「フロンティア」に遭遇し、自分たちもその中で主要な役割を演じることができる!という確信を持つことができ、貧乏な暮らしをしていても、将来に「希望」を抱くことができた。
若かったということもあるが、将来に対する希望を持つことができたせいで、毎晩夜中まで、場合によっては朝まで、仕事に打ち込むことができたのだと思う。
村上龍に言わせれば、「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが希望だけがない」ということだ。
一方、氏の著書に猛烈な批判を加えている書もあるらしい。
いずれにしても、「57%」という数字は、今の若者に限った話ではない。
僕たちの世代(40代後半)も、このまま平和に日本で暮らしていけるとは限らない。
30年後の日本がどうなっているか?想像もつかない。
僕なりに、知恵を絞りたい。