最後にヨーロッパを訪れたのは2019年12月のフランクフルトだった。それまでは、ほぼ毎月のように海外出張をしていたが、コロナが、ドメスティックな生活に変えた。まあ、それはそれで、時差ボケに悩まされることはないし、快適な生活だった。
でも、日本にいるだけでは知りようのない事実がある。
アムステルダム出張は、Leadership MeetingというInfarmの幹部会議に出席するためだ。今までも参加を要請されてはいたものの、帰国後の自主隔離を考えると行く気にはなれず、オンラインで参加していたが、時差の関係ですべてのMTGに参加することはできないし、パソコンを通しての音声で、尚且つ複数の人間が同時に話をすることもあり、2nd Languageの英語の議論にリモートで参加するのは限界があった。
アムステルダムは、街中を運河が流れており、とても綺麗な街だ。人口は約80万人、観光以外に主だった産業はなく、とても Touristic な街である。以前は駅の周りに注射針が落ちているような街だったそうだが、今は夜11時過ぎでも若い女性が一人で歩いており、治安の良さがうかがえる。
一方、様々な人種が住んでおり、移民もかなり多いと聞く。実は、起業家仲間が昨年の12月、東京からロッテルダムに移住したそうだ。僕のfacebookの投稿をみて、連絡をくれ、わざわざアムステルダムまで会いに来てくれた。
その彼が言うには、オランダは税金が高く、所得税は40%ほどらしい。その代わり、公共サービスが充実しており、小学校(中学もだったかも)は、給食や教科書代等も含めて一切、費用は掛からないという。社会主義的な社会とも言え、アメリカやイギリスと比べて貧富の格差は少ないという。その代わり、我武者羅に働き経済的なサクセスを目指すというようなアグレッシブさもないそうだ。
また、江戸時代の出島に伴い日本とオランダの間に締結された通商条約が今も継続されているらしく、オランダの銀行に数十万円(60–70万円?)ほど預けておけば、ほぼ100%、ビザを取得できるらしい。
ロンドンは3年ぶりだろうか? アムステルダムから来て思ったのは、僕にはロンドンやニューヨークの方が肌に合っているということだ。20代の頃、借金をしてまでニューヨークに通い詰めていたせいだと思うが、街中で感じるエネルギーというか、それぞれが自分自身のサクセスを求めて生きている、ある種の緊張感が好きだ。
アムステルダムとロンドンでは何が違うのか?イギリスはかつて、世界を支配する帝国であり、経済の中心だったこともあり、都市のスケールが違う。ロンドンは人口もアムステルダムの10倍近い、700万人ほどいる。ロンドンが「Complex」だとすれば、アムステルダムは「boutique」だ。
アムステルダムは知名度こそあれ、ロンドンほどの影響力はない。地球規模で見れば、小さな都市だ。日本でいえば、軽井沢や清里のような位置づけかもしれない。緊張感もストレスもないかもしれないが、その代わり、成功を求めてチャレンジするようなエネルギーも感じられない。
但し、アムステルダムもロンドンも多種多様な人種で構成されており、そのような都市、さらには国家を運営していくことは並大抵のことではない。単一民族国家の日本のようなわけにはいかない。2年半ぶりの海外出張で、改めてそのことを感じた。
もうひとつ、感じたことがある。それは、僕が今までの人生で経験してきたこと、そして、これからの人生で経験することを、どうやって次の世代の人たちに繋いでいくか?ということ。誰でもが経験できることではないことを経験して来ていると思っているが、僕がこの世からいなくなったら、その経験も無くなってしまうのでは、僕の人生の意味は何だったのか?と思う。
もちろん、二人の子どもたちはいるけど、もっと世の中に対して、僕が自分自身の人生から学んだことを伝えていきたい。そうでないと、文字どおり、僕の人生がそこで終わってしまう。それでは寂しい・・・。
そんなことを考えた。