3流国に成り下がった日本。

3流国に成り下がった日本。

僕が初めてNew York に行ったのは1986年2月。200円/ドルぐらいだった。アメリカ人の友人(修士)の初任給が年収5万ドルと聞き、日本円に直すと「1,000万円!」で、アメリカは何と稼げる国なんだ!と思った。でも、100円/ドルになり、それは「為替レート」の為せる技だったと理解した。

1985年のプラザ合意後、急激に円高が進み、10年後の1995年4月19日には「79円75銭」という市場最高値を付けた。New Yorkに魅せられた僕は20代の頃、毎年2回、夏と冬、New Yorkを訪れていた。100円/ドルの New York は安い街だなあ・・・と思ったのが嘘のようだ。

僕の若い友人に「元ホームレス起業家」がいる。それも、日本ではなく、シリコンバレーでだ。その彼が「150円/ドル」の3流国に成り下がった日本を嘆く投稿をしていた。

どういうことか? 説明しよう。

僕がサンブリッジ グローバルベンチャーズというSeed Accelerator(スタートアップへの投資会社)を経営し、毎年、日本の若者をシリコンバレーに連れて行くツアーを運営していた頃のことだ。どういう経緯だったかは忘れたが、最終日のディナーの会場に「ホームレス起業家なんです!」と言って僕に会いに来たことがあった。

Plug and Play だったか他のCo-Working Office だったかは忘れたが、当時のシリコンバレーは規律が甘く、Co-Working Space に寝袋で寝泊まりできたらしい。シャワーが完備されていれば、確かに生活することができる。

彼は学生時代からシリコンバレーに住んでいたそうだが、当時(2013年)の為替レートを見ると、86.58〜105.39円/ドル彼が借りていたアパートは、2LDKで約2,000ドル。90円/ドルで日本円に直すと「180,000円」になる。

今のシリコンバレーは全米で最も物価が高く、場所にもよるが、2LDKだと4,500ドル。そこに「150円/ドル」という円安が加わり、同じ物件がなんと「675,000円/月」だ!!

資源の無い日本は「輸入」に多く頼っており、円高がいいに決まっている。円安で喜ぶ人たちがいるが、GDPに占める「輸出産業」の「比率」は「15-16%」しかない。因みに、同じ製造業大国のドイツの名目GDP (財・サービス合計、2019年)は「46.8% 」

大企業製造業の「増益」は「ドル」を「円」に替えた「為替差益」でしかなく、日本の産業構造を何も変えておらず、いつまでも20世紀型のオワコンの産業構造を温存しているに過ぎない

株価が上がっても、その恩恵に被るのは、就業人口の4-5%でしかない大企業の経営者および従業員と株や不動産という資産を持っている一部の人間だけだ。ロシアのウクライナ侵攻によりエネルギー価格が上昇し、FRBはインフレ抑制のために政策金利を上げ、日本は「インフレ」に苦しむ。多少は給与所得が上がったが、インフレを踏まえた実質所得は相変わらず、下がり続けている。

さすがに国民も「円安=悪」ということを理解してきただろう。

また、このままオワコンの産業構造を温存し、痛みを伴う構造改革を先送りし続けることのツケを払うのは、今の若者や子どもたちだ。国交省は、未だに「ライドシェア」解禁に及び腰どころか、個人タクシーの運転手は80歳を上限にするらしい。75歳以上は「運転免許返納」を推奨と言っておきながら、ダブルスタンダート以外の何物でもない。

僕の次男(小6)ですら「自分が大人になっても、稼いだ金を高齢者に吸い取られるだけの日本にはいたくない・・・」と言っている。子供もバカではないのだ。

冒頭に紹介した僕の若い友人がfacebookで「円が強くならないと今後、グローバルな『経済格差』はより広がるばかり。外国人からしたら『日本やっっっす』状態に」と警鐘を鳴らしているとおりだ。

日本人はもっともっと「自国の衰退」を理解すべきだし、政府は「不都合な真実」を説明する必要がある。

と言いつつ、個人的には政府には期待していない。今回の改造内閣にも幻滅した。チームで検討した結果というが、副大臣、政務官に「女性ゼロ」というのは、正気の沙汰ではない。

さて、どうすればいいか? 僕は諦めないよ。ドン・キホーテちっくに頑張るのみ!