ブタ公園には、ブタさんはもういない。

季節外れに暖かかった昨日は、いつものコースではなく、ちょっと頑張って、目黒通りを目黒に向かった。羽田空港に向かう飛行機が数分おきに上空を横切る。多い時は手前から奥に同時に3機が見えた。羽田は過密ダイヤだ。

一昨日は22時に過ぎに仕事場を出て、次男が4月から通うことになる学校まで行ってみた。12歳の彼がこれから6年間、この学校に通うのかと思うと、何となく楽しみな気持ちになった。彼がその学校を卒業する時は今の長男と同じ18歳になる。どんな少年になっているのだろう?

夕暮れの恵比寿ガーデンプレイスは大勢の人で賑わっていた。見慣れたイルミネーションがきれいだ。権之助坂を上り、目黒駅前の交差点を左折すると、左にピーコックがある。その道を真っ直ぐに進み、アメリカ橋を渡る。ガーデプレイスの入口にある建物には「仕掛け時計」がある。18時になると音楽と共に人形が登場する。長男が保育園に通っていた頃、「時計さんを見る」のが日課だった。

恵比寿南の交差点に向かう坂を下り、1つ目の角を左折。暫く行くと通称「ブタ公園」と呼ばれている公園がある。渋谷区は税収が豊富なお陰で、地面にはネットが敷き詰められ、新しい遊戯が設置されていた。でも、見慣れたブタさんの姿は無かった。撤去されたのかもしれない。

今の家に越す前に11年住んでいたマンションに続く坂道を降りていくと、ペットのリードを引き、買い物袋を下げた夫婦が玄関に入って行くのが見えた。売らなきゃ良かったかな・・・。今でもそう思う。

恵比寿の街を歩く人の姿は、今の街の人たちとは違う。駒沢通りを上っていくと、荷台に子供を乗せて自転車を漕ぐお母さんたちとすれ違う。マンションよりも一戸建てが圧倒的に多く、住宅街に入ると夕飯の支度の幸せな匂いが伝わってくる。

ジョギングの途中、YouTubeで偶然、来生たかお作曲、実姉の来生えつこ作詞の「スローモーション」を聴いた。中森明菜のデビュー曲だ。僕が聴いたのは、来生たかおが自らの曲をカバーしたもの。

中森明菜。1982年5月1日。16歳でデビュー。僕が大学に入学した年だ。あの容姿と声で売れないわけがない。16歳の彼女にとっては、相当背伸びした歌だっただろう。あどけなさの代わりに大人になった彼女が歌うスローモーションも聴いたが、どこか危なげな感じがした。哀しげと言った方がいいかもしれない。

スタートアップの世界も芸能界と似ている。中森明菜という素材がどれほど魅力的で才能に溢れていても、彼女の声やキーに合い、キャラクターを活かす楽曲を提供してくれる仕組みがあり、売り出すための資金とノウハウや業界があって初めて、彼女はスターになれる。まさしく、エコシステムだ。

スタートアップの方が自分たちの裁量の範囲が大きいが、自分たちのキャラクター、やろうとしていることを理解してくれる投資家や顧客、そして、ビジョンに共感し、ジョインしてくれるメンバーがいなければ、成功することはできない。

そんなことを考えながら、9.3kmのジョギングを楽しんだ。僕の場合、速歩きと言った方が正確だけど。久しぶりにかいた汗は気持ち良かった。

ところで、一昨日のfacebookでの投稿を見て、わざわざDMをくれた投資先の創業者がいる。僕は幸せな人間だ。

梅の花は咲いたけど・・・。

環七を走りながら、去年の今頃も羽根木公園に「梅の花」を見に行ったことを思い出した。6ヶ月ぐらい前にしか感じなかったけど。

学生時代の僕は下北沢に住んでいたこともあり、電車で二駅の羽根木公園の「梅祭り」には何度か行ったことがあった。あの頃と違うのは、昨年も今年も、その目的というか動機だった。

次男の受験は上手くいき、我が子ながら、そう簡単ではない都立の中高一貫校に合格したのは喜ばしいのだが(特に親の経済事情的には)、人生は思うようにはいかない。どうにも気持ちの整理がつかないことがあり、そうだ、京都に行こう!とできれば良いのだが、残念ながらそうはいかず、クルマで15分も走れば到着する羽根木公園に梅の花を見に行った。

昨年はInfarm の日本市場からの撤退、つまり、日本法人を解散することになり、これからますます子供たちにおカネが掛かるというタイミングで、いったい、どうするんだ・・・ということが直接の原因だった。

齢を取ったせいか、桜と較べると地味な梅の花は、心を落ち着かせるのにはちょうどいい。桜の花は華やかで、こういう気分の時には、too much だ。

今日は次男の小学校の授業参観(最近は学校公開と言うらしい)で、1時間目の体育の授業を観に行った。家に帰った後、屋上で洗濯物を干していたところ、何かの気配を感じて振り返ると、なんと、山鳩が屋上の柵に止まって来た。僕は鳥が嫌い(怖い)で、追い払おうと思って、カバーを掛けてあるBBQ用のテーブル越しに足を一歩踏み込んだのだが、それでも逃げない。英語で「Jesus!」と叫んだら、飛んでいった。

僕たち家族の住まいは東京都目黒区にあり、決して田舎ではないのだが、目黒区には「林試の森」という広い公園があり、そこに住んでいるのか、山鳩を頻繁に見かける。山鳩は街にいっぱいいる鳩と違い、人を避けるはずなのだが、あの山鳩は何故か、僕を見つめて、逃げようとせず、むしろ、自分から僕に近寄って来たように思う。

神様が山鳩を使って僕に何かメッセージを届けようとしたのか? そんなことを考えた後、羽根木公園に向かった。

実は先月下旬(1/27)、武蔵野EMCの公式行事として「EMC SUMMIT」なる発表会を開催したその時も、とあることで塞ぎ込んでおり、審査員を仰せつかっているにも関わらず、塞ぎ込んだ顔はできないし、でも、不器用な僕は笑顔を振りまくこともできないし・・・と、会場に向かう電車の中で思い悩んでいた。でも、会場に着き、学生たちと挨拶を交わすうちに、自然と気持ちが晴れていった。

今このブログは、とあるお洒落な場所で書いているんだけど、EMC公式Slackを開けたところ、EMC SUMMITにも登壇した2期生の「鈴木瑠花」が自分の「note」を紹介していた。彼女のnoteを読んでいるうちに、目頭が熱くなり、僕も頑張るか!!という気持ちになった。嘘じゃなくて・・・。

凄いね!EMC!!