「影響を受ける」という「才能」。

この言葉は、僕が20代の頃に過ごしたODSというコンサルティング会社で使われていたものだ。

「影響を受ける」という言葉は、時と場合により、ポジティブな意味でも、ネガティブな意味でも使われると思うが、「影響を受けやすい」というと、「自分が確立されていない」とか「ポリシーがない」とか、どちらかというと「ネガティブ」な意味合いで使われるように思う。そんなこともあり、それまでの僕は、「他人の影響を受ける」とか「影響を受けやすい」ということに対して、あまりポジティブには捉えていなかった。

それが、ODSで働いたことによって、その概念は大きく崩れ去った。僕にとっては「衝撃的」だったし、昨日のブログで書いた「Turning point(転機)」のひとつだったと言えると思う。

昨日は、そのODSの先輩にあたる、HRIというコンサルティング会社を経営している野口さんという方と久しぶりに会った。

詳細は後日、改めてこのブログで説明したいと思うが、昨日の野口さんとの「会話」も、僕にとっては「転機」になると思う。僕の中で、どうしてもすっきりしないでいたことが、かなり、すっきりした(整理された)気がする。

ODSでいう「影響を受けるという『才能』というのは、謙虚に他人の意見に耳を傾ける姿勢と新しいことを吸収する柔軟性を指していると僕は解釈している。

会社を経営していると、やれ「一貫性」が大切であるとか、「朝令暮改」は良いとか悪いとか、様々なことを言われることが多い。

確かに、その根底にある思想や理念は揺るぎないものである必要があると思うが、それを踏まえた上で、環境変化に柔軟に対応し、新しい考え方や情報を取り入れ、常に「最適」と思われる意思決定をしていくことは、むしろ、必要なことだと思う。

ビジネスの世界においても、「生き延びるものは強いものではない。変化するものである」というダーウィンの進化論そのものである。

経営者という立場でいうと、そこで問題になるのは、「なぜ、その変化が必要なのか?」「どうして、その変化を選んだのか?」ということを、組織の全員に「わかりやすく」説明する必要があるということだと思う。

ベンチャー企業の創業者経営者の場合、人にもよるが、得てして「直観タイプ」の人が多いので、その人の中では「明確な判断基準」があり、それに則って意思決定をしていても、それを「万人に通じる言葉」で説明することをせずに行動を先行させることが多いので、社内に混乱を引き起こすということだろう。

今になってみれば、僕もこうして冷静に分析なり判断ができるが、インタースコープを経営している頃は、そのことを理解していなかった。

山川さんが、僕と一緒にインタースコープを始める時に、「サラリーマンに戻るということだと思うので、懐かしくもあり、大変だなという思いもあり・・・」と言っていたことの「意味(本質)」を、インタースコープを始めてしばらくした時に気がついた。

会社を船に例えれば、数人で漕いでいる小さなボートであれば、船長(経営者)が、急に右だの左だのと言っても、クルーがそれに反応できるし、その意味も理解できると思うが、それが、100人を超える人々が運航に関与している船となると、運航の機能が高度に細分化されており、システマチックな指示系統がないと情報自体が伝達されないし、船の方向を変えることはできないということだろう。

様々なことから「影響を受ける柔軟性」を持ちつつ、システマチックな経営をする(できる)。

そういう人が偉大な起業家なり経営者になっていくのだろう。