「明確な戦略」と「曖昧な戦術」と「経営判断」。

王子製紙による北越製紙へのTOBの結末に関するコラムが、今朝(9/5)の日経新聞に載っていた。

僕は、この事件(?)を注意深く見ていたわけではないので概要しか知らないが、このコラムを読んで印象に残ったことがある。

それは、「明確な戦略」と「曖昧な戦術」という表現(キーワード)だ。

僕は上場企業の経営をしたこともないし、もちろん、TOBをしたこともない。なので、当事者の立場や考え方は分からない。しかし、「明確な戦略」と「曖昧な戦術」という指摘は、企業活動のみならず、自分自身の人生を顧みた時にもヒントが隠されているような気がした。

コラムによれば、北越製紙の経営陣は「有利発行」の疑いもある低価格での第三者割当増資を行い、法的なグレーゾンも辞さず、遮二無二買収防衛策に走ったそうである。

一方、買収によって市場支配力を高め収益基盤の強化を狙うという「明確な戦略」のもとにTOBを仕掛けた王子製紙の経営陣は、そのことによる「企業イメージの悪化」を嫌い、結果的には「曖昧な戦術」を選択し、「明確な戦略」は実現することはなかった。

極めて日本人的な価値観である「体裁・遠慮・しがらみ・情緒」というものを持ち、その一方で「経済合理性」を求められる会社経営を仕事としている自分自身を振り返った時、今回の一件は他人事ではないと思う。

自分が正しいと思ったことであれば周囲の批判を恐れない「強い精神力」と、自分自身の選択により生じ得る「批判や摩擦」を事前に整理できる「知力」の両方が、今の自分にはまだまだ足りないということを改めて認識するに充分なコラムだった。