「未来」に書かれたもの

僕が好きな(尊敬している)田坂広志さん(ステキな名前である)の著書で、「自分であり続けるために」~流されずに今を生き切る50のメッセージ~ という本がある。

先日、久しぶりに家の中を掃除をしていて、その本を手にした。

僕は、本を読むと、自分で気になったページは爪を折っておくようにしており、この本にも「2ページ(2つのメッセージ)」で爪が折られていた。

そのひとつが「『未来』に書かれたもの」というものである。

僕は、その映画のことは知らないが、アラビアのロレンスという映画の中で、ピーター・トゥオール演じる英雄ロレンスが、疲労困憊のために落馬して灼熱の砂漠に取り残されてしまった兵士を助けようと、自分自身も疲労困憊した身体に鞭打って引き返そうとした時に、ひとりのアラビア人の兵士が、それを止めようとして、「It is written.(彼が砂漠で死ぬことは、宿命だ。そのことは、コーランに既に書かれている)」と言ったそうである。

その言葉に耳を貸さず、ロレンスは砂漠に引き返し、九死に一生を得る形で、その兵士を助け出す。

そして、部隊に戻ってきたロレンスは精根尽きて倒れる前に、静かに、しかし、力強く語るそうである。

「Nothing is written.(何も書かれていない)」

田坂さんは、この映画のワンシーンを引き合いに出して、「我々の歩む未来には、何も書かれていない」と書いている。

そして、こうも続けている。

「そのことがこの世界の真実であるにもかかわらず、我々の心の奥底に宿る「生の不安」は、そのことを受け入れられないのです。そして、そのことが、実は、我々の「生の輝き」であることに、気がつかないのです」。

改めて、深い言葉だと思った。

ドリームビジョンを創めて約8ヶ月になるが、ここ3~4ヶ月間は、「勝ちに行く」のではなく、「負けないように」という思考になっており、本来の自分を忘れていたような気がする。

僕はよく、28才で起業した時のことを「地雷」を引き合いに出して説明するが、さすがに2度の起業経験があるので、この先の「苦難」や「成功確率」がある程度分かってしまい、それが「原因」となり、勝負を恐れる心が生まれてきていたと思う。

そして、それは身体にも如実に表れるような気がしている。

ここ数日のことだが、どの道、片道切符で引き返すことはできないわけだし、どの道を選んでも「困難が待っている(避けられない)」のだったら、成功した時に、最も「自分らしく」、最も「デカイ」選択肢を選んだ方がやる気が出るよな・・・と思うようになった。

すると、長い間、忘れていたクリード(最初の会社)の時の自分やインターネットリサーチという事業を立ち上げようとしていた頃の自分を思い出した。と同時に、あの頃の躍動感というかエネルギーに似たものを、身体の中に感じるようになった。

昨日、52才の「中嶋常幸氏」が、三井住友VISA太平洋マスターズで優勝した。

20代や30代の頃とは違うのは間違いない事実だが、今までの経験から学んだことと、40代ならではの「集中力」をもって、大きな勝負をしたいと思う。

でも、僕という人間は、精神的に弱いことも事実である。

その日によって、気持ちが前向きな日もあれば、弱気になってしまう日もある。

自分という人間のすべてを受け入れて、前に進んでいくしかないんだろう。

そして、その勇気を持ちたいと思う。

追伸:自作の座右の銘である「人生はすべて必然」の意味は、物事は最初から決まっているということではなく、すべて原因がある、という意味である。