繁栄は人間をダメにする。

今日のタイトルの言葉は、鰐淵美恵子さんという「銀座テーラー」という老舗を再生させた3代目女社長の言葉である。

昨日、数寄屋橋の本屋で目に留まり購入した「勝ち残りましょ、銀座で」という本の著者でもある。

僕のブログの読者は殆どが僕よりも年下だと思うのでご存知の方は少ないと思うが、彼女の夫は女優の鰐淵晴子さんの従兄弟にあたる。また、彼女の義父が「銀座テーラー」の創業者である。

僕もこの方が書かれた本を読んで初めて知ったことだが、歴代の総理を含めて、政財界の錚々たる方々が、この店(銀座テーラー)で「ハンドメイド」のスーツを仕立てているという。

ところで、彼女の夫は、いわゆる「遊び人」で、彼女はかなりの苦労をしたらしい。

彼女の夫が2代目の社長に就任した頃は、世の中がバブルの真最中で、カリスマ創業者(彼女の義父)が亡くなり、社内の求心力が低下して経営がおかしくなりかけていたにも関らず、銀座テーラーは業績が上向いて行ったそうである。

バブルの絶頂の頃、僕はODSというコンサルティング会社に勤めていたが、その当時は、不動産価格がうなぎ上りに上昇し、それを担保に銀行が挙って融資をしていた時代だった。その頃の記憶が蘇ってきた。

銀座テーラーの創業者は、商才に溢れた人で、不動産価格が安い頃に、テーラーで上がった利益を不動産投資に注ぎ込んでいたらしい。

それがバブル経済の頃、物凄い家賃収入を上げており、それを担保に銀行が青天井のようにお金を貸したという。

その金は何に使われたかというと、「絵画」だったそうである。

バブルが弾けてどうなったかというと、僕のブログの読者の方々が想像するとおりである。

さすがに金額は明記されていなかったが、彼女が「銀座テーラー」の経営に携わった時、別会社である不動産会社には、常識を超える額の融資がされていたという。おそらく、何十億という金額だったのだと思う。

その負債を抱えた状態で3代目社長になった彼女が、会社を救った(再生させた)わけである。

そして、その彼女が事あるごとに言っていたのが、「繁栄は人間をダメにする」ということだそうだ。

世の中の本質をついていると思う。