地鎮祭

僕と同年代の方はご経験があるのではないかと思うが、子供の頃の思い出に、近所の家の「地鎮祭」というものがある。僕が生まれ育った福島県郡山市では「建前(たてまえ)」と言っていた。

まだ柱しかない家の屋根や二階から、ちり紙にくるんだ5円玉や10円玉、お餅などを家の前に集まった人たちに向かって放り投げる。

僕たち子供達は、臨時のお小遣いを求めていそいそと出かけていき、本気になって、その包みを取ろうと頑張った。極稀に、50円玉や100円玉が入っていることもあり、それをゲットした時は、宝くじが当たったような気分だった。

あの頃は、すべてが「アナログ」であり「リアル」であり、自分の目と耳と口と鼻と皮膚で感じていた。

それを検証することは出来ないが、そういう「プリミティブ(原始的)な経験」が今の自分の「感受性」を育んでくれたように思う。

東京で生まれた僕らの子供にも、出来るだけ「プリミティブな経験」をさせてあげたいと思う。