NHKと子育てが大変な「もうひとつの理由」。

初めてのベトナム訪問から3週間。久しぶりに「凝縮」された時間を過ごしている。インタースコープ立ち上げの頃を思い出す。

あの頃、ウェブクルー創業メンバーの畔柳さんが、成長しているベンチャー企業&その経営者は「4倍速」で仕事をしている、と言っていたが、今の僕はそういうことではない。

インタースコープの頃は、ひとつのことに「どっぷり」という感じで、ある意味「ゴール」が明確であり、それに向かって遮二無二頑張ればよかったが(実際、遮二無二頑張れた)、今は、僕らはどこを目指すのか?そのこと(ゴール)を考えながら走っており、また、僕個人に関しては、仕事以外にやることがたくさんある(その殆どは、子育てと家事である)。これには、かなりタフな精神力が要求される。

ところで昨日は、保育園の遠足で、渋谷にあるNHKのスタジオパークに行った。僕にとっても初めての経験である。

そのスタジオパーク見学の最後は、朝のNHK教育テレビの番組「いないいない、ばー」のキャラクターである「ワンワン(犬の着ぐるみ)」と子供たちが記念写真を撮り、一緒に遊ぶというものだった。

「ワンワン」と写真に納まる子供たちの表情を眺めながら、競争や失敗のリスクと向き合い、時間と戦いながら大きなストレスの中で生きているキャリアウーマンの母親が、社会の苦労や無情を何も知らない子供たちと感情を「共有」しながら生きて行くというのは、それこそ、大きなストレスを生むのではないか?と思った。

ベンチャー企業の立ち上げという、ある意味、リスクの塊のような状況にあり、尚かつ、これが勝ちパターンという明確なモデルやゴールが設定できていない僕にとって、純真無垢な子供たちと接することは、とても良い「気持ちの切り替え」になる反面、ふっとした時に、その「切り替え」が難しくなり、かえって、ストレスを増幅させることがある。

そんなこともあり、世の中の「キャリアウーマン」と呼ばれている女性が「子育てとキャリアの両立」に悩むことがあるとすれば、その時間的な成約(体力の問題も大きい)のみならず、「精神面の負担が大きい」のではないか?と思った。

また、自分のキャリアを大切にする母親たち(そんな次元ではなく、生活のためという女性も多いと思う)のために存在する保育園で働く「保育士」という職業は、これまた、過酷な職業である。

誤解のないように補足説明をすると、地方公務員として「認可保育園」で働いている「保育士」の方と、僕らの子供が通っている「認証保育園(私立)」や無認可の保育園で働いている「保育士」の方とでは、同じ「職業」でありながら、その「経済的待遇」があまりにも違うと思う。「思う」と書いたのは、彼女たちの年収を調べたわけではないからだ。

因みに、僕の末弟夫妻の子供は「認可保育園」に通っているが、なんと、「おむつ1枚1枚」に「名前」を書き、その上で、使用済みのおむつを持って帰らなければならない。また、そもそも仕事があって子供の面倒を看ることができない(あるいは難しい)ので保育園に預けているのに、閉園が「18:00」だったりする。延長保育をしても「19:00」が限界である。

保育園に子供を預ける母親たちは「公務員」のように17時や18時で帰れる人たちではないのに・・・である(ひと言で「公務員」と言っても、霞ヶ関で働くキャリア官僚のようなハードワーカーもいる。念の為)。

話しを元に戻すと、地方公務員として「保育士」をしている方と「民間企業?」の従業員として「保育士」をしている方とでは、その仕事に対する報酬が大きく異なるということだ。

尚かつ、僕らの子供が通っている保育園のように、子供の教育に熱心(英語のレッスンまである)な保育園で働く保育士の方々は、その労働はとても過酷である。その証拠に、今月も数人の保育士の方が退職される。とても残念だ(私服の彼女たちは、どこにでもいる普通の若い女性たちだ。今日は皆、とてもオシャレな服を着ていた)。

話しは変わるが、伊藤忠商事会長の丹羽さんが、週間ダイヤモンド(3/8)で「強者(大企業)は弱者の気持ちが分からない。大企業にとっての100万円と中小企業にとっての100万円では全く意味が異なる。だから、100万円(ぐらい、いいだろう)値引きしろとなる。大企業は中小企業にもっとお金を払うべきである。僅か1割の大企業(強者)の従業員を、より裕福にしても意味が無い」と語っていたが、それに通ずることがあるように思う。

僕自身、社会的「強者」になりたいし、より多くのお金が欲しい。何故なら、お金はかなりのことを実現してくれる。

しかし、「金持ち」を「より金持ちにする」仕事には、あまり興味はない。

保険スクエアbang !(自動車保険の見積もり比較サイト)」は、保険会社主導の自動車保険の流通を、消費者(契約者)主導へとパラダイムをシフトさせようというのが僕らのモチベーションだったし、「インタースコープ(現ヤフーバリューインサイト)」は、極めて労働集約的であり、技術革新がなく、資本によるレバレッジが効いていなかった「市場調査」という業界を変革する!!ことがモチベーションだった。

僕が今まで「おもしろい!!!」と思ったことは、利益が出ることは前提(そうでなければ続けられないし、やる意味がない)として、常に、既存の秩序を壊すことであり、そのことが「より良い社会」の実現に繋がることだったと確信している。

ドリームビジョンでは「3度目の正直」として、事業の内容だけでなく、その「経営のあり方」においても、一切の妥協を許さず、僕の理想を実現させていきたいと思っている。

辻さんの「愚直に積め!!」を実践して。

追伸:先週は、妻が発熱し(子供のウイルスが移った)、僕が保育園への送迎をすることになり、精神的にも肉体的にもハードな一週間だった。でも、そのお陰で、ここ数日は、僕が子供と一緒に寝ている。今までは、母親じゃないと嫌がった子供が、成長したということでもある。彼は紛れもなく、僕ら夫婦の「宝物」である。