個人の預金残高ではない。会社の預金残高である。
ウェブクルーの経営が軌道に乗った頃、当時まだ株主だった僕は、ある用件があり、渡辺さんを訪ねて社長室にお邪魔したことがある。
「あの頃のことを忘れないように、自分に対する戒めとして、当時の預金通帳のコピーを机の前に貼っているんですよ(笑)」。
そう言って、ウェブクルーを創業する前に経営していた会社の銀行口座の残高が、「2万円」になってしまった時のことを話してくれた。
インフォプラント創業者の大谷さんは、2000年1月、VCからの資金が払い込まれる直前、会社の預金残高が「20万円」だったという。
ふたりとも今では大金持ちだが、そういう辛酸をなめて今日に至っている。
僕は、会社の預金残高は覚えていないが、1ヶ月後に「400万円」の支払いが待っているのに、そのお金がない(売掛金もない)ということがあった。
奇跡的に仕事を取り、見積もりの半分を前金でもらい、仕事が終って1週間後に残金を支払ってもらう、それも新規のお客さんに、という離れ業?をやって凌いだことがあった。
バーディパットを狙いに行くということは、返しのパットも外し、3パットのボギーを覚悟する必要があるということだ。
アマチュアのゴルフなら生活には影響は無いが、リスクを取って起業した会社となると、下手を打てば、その下手の大きさに応じて、ツケを払わせられる。
それは、生半可なものではない。「少年ハート」では起業はできない。
それだけ大変なことにも係らず、僕は何故、こうして起業を続けるのだろう?
何だかんだ言って、「好き」だという以外に理由は見つけられない。
でも、マジメな話し、もう、これで最後にしたい。
「起業」も「子育て」も、若いうちに限る。
どちらも、体力と気力の勝負である。