もう何年も前、まだインタースコープを経営していた頃、日経新聞で読んだ「カルロス・ゴーン」の言葉である。
その記事を切り抜き、その言葉に蛍光ペンをひき、毎日必ず目に留まる場所に貼った。
あれから、4~5年が経っただろうか。
さて、前回のエントリーで組織を束ねるのは「価値観(カルチャー)」と「夢(大志)」と書いた。
それなりの反響があり、個人的にメールをくれた方もいた。
今回は、僕が言いたかったことを詳しく書いてみたい。
ところで、僕は日本の大企業で働いたことがないので、日本の大企業の文化は皮膚感覚では分からない。
でも、20代の頃、J.Walter Thompson(JWT)という、広告業界で世界第2位のWPP傘下の広告代理店で働いたことがあるので、まったく理解できないということではない。
しかし、僕はその水に合わず、わずか7ヶ月でJWTを退職した。そして、起業した。
その7ヶ月の経験を踏まえて言うと、大企業だろうが中小企業だろうがベンチャー企業だろうが、その会社が「何を大切にしているのか?(価値観でありカルチャーであり『理念』である)」が最も大切だし、それがその組織のロイヤリティを形成する。
逆に言えば、その価値観なりカルチャーに合わない人は辞めていくことになる。僕がJWTを辞めたように。そして、それが、その個人にとっても組織にとっても最良のことだと思う。
つまり、何を成し遂げようとしているのか?何を「善し&目的」として組織を継続させようとしているのか?
ここに共感した人たちが集まり、本当にそういう人たちだけが残っていくのだと思う。
次に「夢(大志)」について。
大半の「夢」は成就しない。これは統計的に証明されているし、僕のブログを読んで下さっている方々も納得がいくのではないだろうか?
でも、その「夢」がないと「自分も他人も」動かすことができない。
何故なら、僕も含めて人間は、何でもいいから「生きる目的=意味」を求めており、それが自分で考えたものでなくても、その夢がとても魅力的で、その夢を実現することが、より良い社会の実現に繋がると思えるもので、尚かつ、自分が活躍できるフィールドがそこにあると思えば、その夢の実現に向かって突き進む場所で働きたいと思う生き物だと思うから。
殆どの人が食べることに困らない社会(選ばなければ仕事はあるし、ある意味、経済的な生存は保証される社会)になると、どうしても、生きることの「意味」を求めたくなる。僕自身もそうであるように。
次に、カルロス・ゴーンの「本当に好きでないと成功できない」という言葉について。
これは、とてもシンプルなことで、嫌々やっていることと、好きで好きで仕方がなくてやっていることでは、どちらが創意工夫が生まれ、物事がうまく行くか?は、議論の余地はないだろう。
こちらの方が分かりやすい、今までやってきていることだから、変えることが怖いから、こちらの方が儲かるから、こちらの方が社会的に評価されるから、というような理由で何かに取り組んでも、困難を乗り越える「力」は出て来ないように思う。
そして、自分が本当に好きなことに取り組んでいるのであれば「言い訳はできない」。
失敗したら、それが「自分の実力」だということである。
もしかしたら、人間はそのことに「本能的」に気がついているので、「挑戦したい」という欲求と、挑戦して「失敗したくない(挫折したくない)」という「自己防衛本能」が交錯するのかもしれない。
ところで、テレビ東京系の「カンブリア宮殿」という番組で、作家の村上龍氏と共に司会を務めるタレントの「小池栄子」さんが、こんなことを言っていた。
「現状維持より、思い切ったことをやって玉砕したほうが人生を振り返ったときに後悔しない。こう考えられるのも『カンブリア宮殿』で接した社長さんたちのおかげ」。
問題は、玉砕した時に、自分は何を失い、その一方、何を得るか? その答えがその人にとって受け入れられるものであれば、チャレンジする価値があるのではないか?
さて、そういうお前はどうするのか?