インタースコープを経営していた頃、お父さんが「井上陽水」のプロデューサーという学生がインターンとしてやってきた。
僕は大学1年まで、何とか音楽で身を立てられないものか?と思っていたこともあり、その学生に興味を持った。
彼も、僕の経歴やキャラクターに持ってくれたようで、仕事の面以外でも、彼の「就職活動」の相談にのったりしていた。
つい先日、その彼から連絡があり、久しぶりに会うことになった。
こう書けば、推察はついてしまうだろうが、「おめでたい話し」があるとのことだった。そういう連絡をもらえることは、とても嬉しいことだ。
さて、彼とのことで、とても印象的な思い出がある。
それは、彼の歓迎会をした時のことだった。
たまたま、彼が僕の正面に座ったこともあり、お互いの「家庭環境」に関する話しをしていたのだが、学生である彼が、僕に「説教」をし出した。
彼が言いたかったことは、「好きなことを仕事にしていくこと」は「極めて難しく」、平石さんは「その数パーセントの可能性に懸けていくんですか?(家族に迷惑をかける)」ということだった。
事実として、彼の家族は経済的に不安定で、とても苦労をしたそうだ。
彼は、クール(左脳的に優秀)な一方、とても「センス(右脳的に才能がある)」があり、極めて「クリエイティブ」な人間である。
僕は彼に対して、「お父さんから受け継いだDNAは消せないし、○○くんの身体の中には、お父さんの遺伝子が入っているよ」と事あるごとに言っていたが、就職して暫くした時にもらったメールの中に、
「自分が『父親の遺伝子を持っていること』を感じずにはいられない日々を送っています」
という一文を発見し、なぜかとても嬉しく思ったことを憶えている。
「自分を知る」。そして、「そのことを受け入れる」ことが幸せな人生に繋がると思う。
何年ぶりかの彼との再会が楽しみである。
追伸:僕が中学生の時、小遣いを貯めて「初めて買ったアルバム(LP)」が「井上陽水」の「招待状のないショー」だった。