謎の会社「エニグモ」。時代は「主体性」と「多様性」。

先月から毎週月曜日の夜、法政大学ビジネススクール(HBS)での授業が始まった。10年前、いや、5年前は、まさか僕がMBAの授業の一コマを担当するなど、考えてもみなかったことだ。とても光栄なことだと思っている。

以前のエントリーでも書いたとおり、僕が担当する授業はワークショップ形式のものであり、ゲスト講師の話しが中心ではあるが、それでも多少の事前準備があり、17時半前にはオフィスを出る。

今日はHBSがある市ヶ谷に17:50頃に到着したが、駅を出ると、もう外はとっぷりと日が暮れていた。つい最近まで、まだまだ「残暑」の気でいたが、考えてみると「秋分の日」も終わり、既に夜の方が長い季節になったのである。

さて、今日のゲストは、Web2.0系のネットベンチャーとして学生に絶大な人気を誇る「エニグモ」の須田さんにお越し頂いた。

彼らが展開しているサービスのひとつに「Filmo」という、アマチュアの方によるCM製作のサービスがある。

今までは、広告主(企業)が、市場の調査分析に基づき設定した「ターゲット」に対して、1本当たりの制作費が何千万円というテレビCMを流していた(大方は今もそうである)が、日本人の価値観の多様化に伴い、ひとつのコマーシャルではターゲットを捉えられないという時代になり、そこに、エニグモの「Filmo」なるサービスが支持されているわけである。

このサービスを簡単に説明すると、広告主から「オリエン資料」が配布され、それに則って「アマチュア」の方がテレビCMを製作する、というものである。

須田さん曰く、100人が100個のCMを作ると、統計的に、その中に「2~3つ」は「超オモシロい」CMがあるという。授業の中で、代表的な事例を見せてもらったが、たしかにオモシロい!!!

梅田望夫氏のいう「チープ革命」が起きている(I.T.が進歩し、I.T.に関する様々なコストが激減している)ことを、ここでも実感した。つまり、アマチュアが自分で持っているPCやソフトで、イケテルCMが作れてしまうのである。これは、凄いことだ。

さて、話しを「時代背景(環境)」に戻すと、「多様性」がキーワードだということである。

僕は常々、今後の社会は「主体性」と「多様性」がキーワードだと社内外で主張してきた。

つまり、個々人の「生き方」にも色々なものがあり、「ステレオタイプ(典型的)」という考え方は流行らなくなっていくだろうということである。

本当の意味での「個」の時代が訪れようとしているように思う。