好きなことに人生を賭けられる人。

晴天に恵まれた昨日の日曜日。僕たち家族は、自宅から約40キロ離れた「昭島」に出掛けた。

山手通りを北上し、初台から首都高4号線に乗り、中央高速に入って八王子で降り、そこから20分ほど走ったところにある東京都下の街である。

この40キロという距離は、僕の生まれた福島県郡山市でいうと、郡山から福島までの距離と同じである。

郡山から福島というと、ひと言で言うと「遠い」という距離感である。

しかし、東京という都市は、それが何によるものかは自分でもよく理解していないが、僕にとっては距離感を麻痺させる。

ところで、40キロもの道のりをドライブして行った理由は、僕たちの子供がバイオリンを習いたいと言い出したきっかけとなった「ジャズ・バイオリニスト」が、昭島にある「森タウン」というショッピングセンターでライブ演奏をすることを知り、それを聴きに行くためだった。

彼女は、ライブハウス等での演奏が多く、その殆どが夜であり、我が子が彼女の演奏を聴きたいと言っても連れて行くことができず、ようやく発見した昼間の演奏だった。

彼女の演奏を間近で聴いていて、ここまでバイオリンを極めるには凡人の想像を絶する努力をしているのだろうと思い、また、これだけの才能があってもメジャーデビューできない現実を考えると、厳しい世界であることを改めて実感した。

でも、CDを2枚、出している(両方とも持っている。2nd アルバムの方が、内容が濃いと思う)。素晴らしいことである。

そして、彼女の奏でる「音」には、人の心を揺さぶる何かがあると思う。

10代の頃はミュージシャンになることを夢見ていたが努力できず、その後は、俳優になりたいと思い、ある劇団のオーディションを受け(実は、300人中5人の合格者のひとりだった!)たものの、その道で生きて行く勇気を持てず、いずれも「勝負」することなく諦めてきた僕のような人間にとって、彼女のような生き方は、掛け値無しに尊敬に値する。

好きなことに人生を賭けられるということは、とても素晴らしいことだ。

プロの世界は厳しいと言ってしまえばそれまでだが、そういう人達がもっと活躍できる場があって欲しいと思う。