鳩山首相の「行動基準」には共感できない。

鳩山首相が「社会起業家の父」と呼ばれるビル・ドレイトンさんを囲んで懇談会を開催したそうである。

今から約1時間半前、Twitterで発言されていた。

以下が、その内容。

~「社会起業家の父」と呼ばれるビル・ドレイトンさんを囲んで懇談会を開催しました。社会をよりよくするために行動を変える「変革」の発想や人の痛みを分かち合う「共感」の大切さを感じました。ドレイトンさんのお話は、若い社会起業家のみなさんに大きな勇気を与えたことと思います。~

僕は、鳩山首相の「行動基準」には共感できない。

先ず最初に断っておくが、僕は「ボランティア」でNPO法人の「アドバイザリーボード」を務めていたり、小額ながら「スポンサー」になっていた&いるNPOもある。

僕だって「人の痛み」を分かち合える人間だと自負しているし、ビル・ドレイトン氏のような活動には「共感」する。

しかし、今朝のTwitter(名詞でもあり動詞でもある)で書いたとおり、鳩山政権の経済政策は、あまりにも理不尽なものばかりで、僕は怒りを通り越して、情けなく、哀しみさえ感じている。

例えば、銀行借り入れを「個人保証」をするという「大きなリスク」を背負ってビジネスをしている人にとって、「内部留保に課税する」などいう政策は、受け入れられるわけがない。

話を元に戻すと、今日の懇親会は鳩山首相が自ら企画したものではなく、誰かの提案により実現したものだと推察しているが、いくら提案されても、ご自身が興味のないことには参加しないだろう。

例えば、先日のエントリーでも紹介したが、慶應義塾大学SFC研究所ネットビジネス・イノベーション政策フォーラム・キックオフ・シンポジウムでの「孫さん」の政策提言(講演)のような活動にこそ、鳩山首相には、もっともっと理解と関心を示して欲しい。

つまり、政府の収入である「税金」の源である「経済的付加価値」を生み出すという、資本主義経済の基本原理とも言うべきことへのコミットを期待したい。

たしかに、「ビル・ドレイトン氏」は素晴らしい方なのは申し上げるまでもなく、「アショカ財団」の理念と活動は賞賛に値するのは間違いないが、では、その「原資」は、誰がどうやって生み出しているのか?

おカネは湯水のように勝手には湧き出て来ない(そもそも湯水も有限である)。

僕が言いたいことは、今の日本の経済・財政状況に対する認識を踏まえてのご自身の行動に関する「優先順位」である。

「友愛」はもちろん結構だし、僕も友情と愛情は大切にして生きているつもりだし、一個人の「家庭」や「交友関係」であればそのとおりだが、一国の経済運営をするにあたり、「友愛」に立脚しようとするのは、あまりに心許なくはないだろうか?

この世の中で問題の種になるのは、その元を質せば「思想」か「経済」のどちらかであろう。

ここでは「思想」の問題には言及しないが、「経済」に関して言うならば「衣食足りて礼節を知る」というとおり、「何億」という「税金を払う」人と、将来の生活を案じながら今日を生きる人とでは、物事の優先順位が異なるのである。

たしかに、今日の日本は「失われた20年」になりつつあるとは言うものの、それでも尚、この地球上では類い稀な経済的繁栄を謳歌していることは疑う余地はない。

しかし、すべての人間が聖人君子ではなく、大多数の人々は、常に「相対比較」で物事を判断し、幸不幸を感じるのである。

因みに、細かな数字は忘れたが、ある人がハーバードだったかハーバードビジネススクールの学生に、「自分は年収5万ドルで周囲は年収2万ドルと、自分は年収7万ドルで周囲は10万ドルの場合、どちらがいいか?」と尋ねたところ、殆どは「前者」と答えたそうである。

日本という「基準(水準)」に照らし合わせて、幸不幸を感じるのである。

僕は日本にもアショカ財団のような組織があって欲しいし、そういう人達がもっともっとたくさん出て来て欲しいと思っているが、そのためにも「富を創出する」ことを真剣に考える必要があるわけで、より本質的な問題は、「自助の精神」により「巨万の富」を生み出した起業家や資産家が、その資産を「社会のために還元する」という「価値観」を醸成するための「教育」だと思う。

僕の父は「財団法人」により経営されている総合病院に勤務し、母は小学校の教師をしていたが(要するに、営利企業に務める両親の子供ではない)、父は常々(今から30年も前のことである)、「これからの病院経営は大変だ」と言っていた。

つまり、経済として成立しないことには、どんなに素晴らしいことも続けられないということである。

また、「田坂広志さん」が、ヘイゲルの弁証法をもとに、対立する2つの異なるものは「相互浸透の法則」により「互いに似てくる」と仰っているが、今の日本は「社会主義の問題点」や「行き過ぎた福祉国家」の悪い点を取り入れ、「資本主義」と「市場主義」の「良い点」を「排除」しようとしているように思えてならない。

僕のような浅学非才の人間がこんなことを言っても何の説得力もなく、こんなブログを書いても何の社会的影響力もないかもしれないが、僕は自分が生まれ育った日本という国が好きであり、黙っていることができない人間だ。

そこが僕の欠点かもしれないが・・・。

Stay cool, affect your judgement.