前回に引き続き、このエントリーは、Substackに投稿したニュースレター(英語版)の日本語訳(要約)である。詳細は英語版を参照されたし。
今回の衆議院選挙ではいわゆる「高市旋風」が吹き、自由民主党が歴史的な勝利を収め、圧倒的な存在感を獲得した。一方、既存の野党は、その「賞味期限」に達したのか? 壊滅的な敗北に終わった。
そのような中、政界における「スタートアップ」とも言える、選挙前は「議席ゼロ」だった「チームみらい」が「11議席」を獲得。大躍進した。ディスクローズしておくと、僕は選挙期間中に「チームみらい」の党員になった。
ところで、スタートアップの世界では、「シリコンバレー」は圧倒的な存在感を放っている。その結果、日本でも「シリコンバレーを目指す」「シリコンバレー型エコシステムを作る」という言説が、半ば呪文のように繰り返されてきたが、この「シリコンバレーへの過度な執着」には、距離を置くべきだろう。
その歴史的背景や国家としての成り立ち等が異なるわけで、その価値観やカルチャー、エコシステムを「コピー」することは意味がないし、不可能である。

このレポートは「Manus (AI)」を使って作成し、日本人の起業家およびエンジェル投資家の一人として分析を加えたものだ。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本という主要5か国を比較し、投資金額、ディール数、投資家の構成など、複数の観点から各国のエコシステムの特徴を整理している。データは、2024年のものを使用した。
周知の事実として、アメリカの突出ぶりは際立っている。アメリカのスタートアップ投資総額は 2,154億ドル。これは、他の4か国を合計した約 333億ドル の、実に6倍以上になる。

これは単に「アメリカは市場が大きい」という話ではない。
スタートアップ・エコシステムの成熟度、リスクマネーの供給量、そして「最初からグローバル市場を前提」にした起業文化——これらすべてが、日本とは根本的に異なっている。いや、日本だけでなく、世界中のどのエリアとも異なっており、模倣できるものではない。
ディール数を見ても、アメリカは14,000件超と圧倒的だ。
日本では2,869社(資金調達額が判明している件数)が資金調達を行っており、これはイギリス(約2,800件)と同数で、フランスやドイツを大きく上回っている。
但し、1件あたりの投資規模が、イギリス、フランス、ドイツとの比較においても極端に小さい。平均投資額で見ると日本は約230万ドル(3.45億円)、中央値では35万ドル程度(5,250万円)と、欧米主要国の「10分の1」水準に留まっている。

では、この差はどこから来るのだろうか?
その最大の理由は、多くの日本のスタートアップが、依然として国内市場を主戦場にしていることにあると思う。国内市場だけを前提にすると、TAM(総アドレス可能市場)はどうしても小さくなり、大型の成長資本を呼び込むことが難しくなる。
さらに、日本では投資家の構成にも大きな特徴がある。
アメリカや欧州では「独立系VC」が中心だが、日本では「大企業や金融機関」がスタートアップ投資の大きな割合を占めている。これはオープンイノベーションという観点では意味があるかもしれないが、必ずしも「世界で勝つスタートアップ」を生みやすい構造とは言えないだろう。
また、「LP(Limited Partner)」と呼ばれるVCファンドへの出資者の顔ぶれも国によって大きく異なる。



このような構造的な違いを踏まえると、シリコンバレーをそのまま真似ることは、あまり意味がないし、日本のスタートアップの成功には繋がらないだろう。むしろ、その発想自体が思考停止と言っても過言ではない。
日本も欧州も、それぞれ独自の歴史的背景や社会の構造、価値観、カルチャーがある。スタートアップの育成もそれに立脚する必要があるのは、わざわざ僕がこうして言うまでもない。
とは言え、シリコンバレーから学ぶべきことは多々あるのも事実。そして、人口減により、ほぼ確実に縮小する国内市場だけでプレーしても明るい未来は描けないだろう。
どうすれば、日本から「世界で勝てるスタートアップ」を輩出できるのか?
僕は「日本人と外国人による多国籍チームを組成する」ことがキーだと考えている。
終わっていない宿題である。
追伸:500 GlobalとJETROにより、Building Cross-Border Understanding, Trust and Opportunity in Venture Capital. What is the US <> Japan VC playbook? というレポートが発行されている。日米の違いがよく説明されており、とても示唆に富んでいる。英語版だが、一読をお勧めする。AIを使って要約しても良い。