シンガポールに会社を設立(することに)した。

石川遼選手(プロゴルファー)が、米ツアーに再度、挑戦することを決めた。12月に行われるPGAツアーの予選会に出るらしい。

33歳。プロゴルファーとして若いとは言えないが、彼の場合、5年間、アメリカでPGAツアーに挑戦していた経験値もあり、まだギリギリ、アメリカのPGAツアーに再挑戦できる年齢だろう。素人の僕には分からないが、世界トップレベルの選手たちと戦えるよう、スイングをゼロリセットし、1から作り直してきたという。

実はこのブログは昨年12月に途中まで書いたままになっていた。なので、「予選会に出るらしい」となっている。結果は残念ながら、予選会を突破できず、今期のPGAツアー再挑戦はならなかった

でも、彼は諦めないだろう。応援したい。

「することに」をカッコで括ったのは、上述のとおり、12月に途中まで書いていたから。せっかくなので、事の経緯を憶えておくためにも、そのまま残しておくことにした。

2025年1月7日。僕にとって10社目となる新しい会社「GoGlobal Catalyst Pte. Ltd.」をシンガポールに設立した。外国に会社を設立するのも初めてだし、共同創業者が外国人なのも初めてだ。

GoGlobal Catalyst (GGC) の目的は、日本人が共同創業者のひとりとして、日本人以外(外国人)と一緒にグローバル市場に挑戦するスタートアップを輩出すること、そして、自分たちもスタートアップとしてグローバルなビジネスを立ち上げることだ。

結果的に僕の共同創業者は「イギリス人」で、極めて国際的で多様性に富むチームになった。自分たちのビジョンを、まずは自分たちで体現することが大切だ。

ここから先は、つい先程、Substackというシリコンバレー発のニュースレター発行プラットフォームで発行した最新のニュースレターの日本語訳(内容は微妙に変えている)を紹介したい。

僕の新しいチャレンジの「物理的」なスタートは2023年6月9日(金)、東京は三鷹市にあるCo-Working Spaceで始まった。その場所の名前はMusashino Valleyで、僕も出資者の一人。

この場所は、スタートアップではなく、ビジョンや計画はあるものの、次のステップを踏み出すことに「尻込み」している一般の人々のためのコミュニティ。

当日は、観客の前で「自分の次のステップ」を宣言することを目的とした、最初のミートアップが開催された。そうすることで、後戻りできない状況に身を置くためだ。

ご想像の通り、僕もその中の一人だった。

そもそもは、2011年8月にサンブリッジグループがシリコンバレーのPlug and Play Tech Center(現Plug and Play)で開催したイベントに遡る。

日本から連れて行ったスタートアップの英語でのピッチ(プレゼン)を聞いて、なれない英語で頑張っているな!と感銘を受けた。

でも、次の瞬間、戦後の焼け野原の「1ドル360円」の時代に、片道切符で米国市場に乗り込んだソニーやホンダなどの創業者や初期の社員の方々の苦労に較べたら、僕たちはあまりにも恵まれており、僕たちの努力は鼻くそ以下だと思った。

そして、日本の将来のために自分に何ができるか?を考えた。

日本は、世界第3位(当時)の経済大国に上り詰めたとはいえ、GDPの2倍もの公的債務を抱えており、このまま何もせずに死んでしまったら、子供たちにツケを残して「無銭飲食」でこの世を去ってしまうようなものだと考えた。

僕は数学が苦手で、コードも書けない。今から政治家にはなれないし、なれたとしても、大したことはできない。でも、僕はいくつかのスタートアップを共同創業し、そのうちの1社は株式公開を果たし、もう1社はヤフー・ジャパンに売却した。また、ドリームビジョンでは痛い失敗を経験した

海外に住んだことは一度もないけど、それなりに英語も話せるし、外国人の友人もたくさんいる。そこで、僕は残りの人生を日本のスタートアップエコシステムのグローバル化にコミットすることにした!

あれから、13年と5ヶ月になる。

2024年7月Dan Brassingtonと僕は、東京のお気に入りのラウンジでソファに座っていた。僕は彼に、残りの人生について考えていることを相談した。

彼は「それは問題じゃないよ。Ikuoのマインドセット次第だ。先延ばしにするのは、止めた方がいい。1か月間、時間をあげるから、結論を出しなよ」と言った。

僕は「1か月とは随分と長いね。なぜそんなに長い時間をくれるのか?」と訊いた。

すると彼は「あまり追い詰めるのは良くないと思ってさ・・・w」と答えた。

僕は彼に「分かった。じゃあ、2週間くれ。」と返事をした。

7月13日(金)。彼がシンガポールに帰る前日、再びソファに座り、僕は「決めたよ。やることにした!」と言うと、彼は「じゃあオレも一緒にやるよ!」と返してきた。

これがGoGlobal Catalystの「精神的なスタート」だった。

僕は現在、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(通称:武蔵野EMC=Entrepreneurship Musashino Campus)の教授として学生を指導している。学生たちには「見込み顧客」へのインタビューが大切だと言っているが、そういう僕は、あまりそういうことをしたことがない。

でも、ピッチデックを作成し、ここ数ヶ月、毎日のように投資家やビジネスパートナー候補の方々へのプレゼンを行っている。学生たちに言っていることを自分でも実践しているということだ。

その結果、なるほど・・・日本の大企業は、こういう問題意識があるんだなとか、組織とはこういう意思決定のメカニズムになっているんだなとか、様々なことを学ぶことができた。

起業家に必要な要素として、「根拠のない自信」を挙げることが多々ある。僕自身、今回の挑戦に関しては、確たる根拠があるわけじゃないけど、絶対に上手くいく!と確信している。でも同時に、言語化はできていなかったけど、このまま(最初のプランのまま)では上手くいかないとも思っていた。

ようやく最近になって、顧客のニーズや問題意識、需要はどこにあるのか、自分たちをどう位置づけるべきか? が分かってきた。

もちろん、そう簡単には問屋は卸してはくれず、幾多の試練が待っているだろう。でも、前に進めると思う。

3月か4月には、GoGlobal Catalyst としての事業構想に関して、プレスリリースを出したいと思っている。いや出せるように頑張る!!

まずは、1/31 (金)、渋谷サクラステージにオープンする最新のCo-Working 兼 Event Spaceで実施するEMC Global Summit の前夜祭で、GoGlobal Catalyst の事業構想について話をする予定だ。

また、その翌日2/1 (土)に開催するEMC Global Summitでは、海外から招聘する学生起業家や大学関係者、ベンチャーキャピタリストの方々と、日本を含めたアジアのスタートアップエコシステムを盛り上げていくにはどうするべきか?について、僕がファシリテート(会話は英語)することになっている。

皆さん、是非、ご参加下さい!!!

フジテレビの問題に思うこと。

フジテレビの問題はこのままでは済まないだろう。僕の考えを「X」に投稿しようとしたところ、内容が彼らのcode of compliance に抵触したらしく、投稿が拒否された。表示された画面を見て、それ以外にも何件か投稿したつもりになっていた投稿が拒否されていたことを知った。Elon Muskは検閲には反対していたが、そうではなくなったのか?

2017年頃、スタートアップエコシステムやイノベーションに関連する講演を依頼された際、必ず紹介していたチャートがある。McKinsey のレポートに掲載されていたものだ。

Netflixは2015年、自国(アメリカ)以外の視聴者が「41%」を占めていた。今は恐らく、60-70%になっているだろう。日本を含めて「世界市場」でビジネスをしているわけで、当然とも言える。

では、放送法により様々な制約を受けると同時に外資の参入を妨げ、規制に守られた環境で日本市場だけでビジネスをしとぃる日本の民法キー局の時価総額と、「自由演技」をしている「Netflix」の時価総額を比較するとどうなるだろう?

上記のチャートは、つい先日、皆さんもご存じのショッキングな事件で報道されていた法政大学小金井キャンパスで講演をした時のものだ。2019年11月22日で、生憎の雨模様だったことを憶えている。

2019年7月現在Netflix の時価総額は当時の為替レートで計算して「17.7兆円」。対して、日本のキー局の時価総額合計は、約1兆4,000億円

では、現在はどうなっているだろう?と思い、調べてみた。結果は以下のとおり。

フジメディアホールディングス:3,959億円

日本テレビ:6,683億円

TBS:5,877億円

テレビ朝日:2,293億円

テレビ東京:813億円

————————————

合計:1兆9,625億円

対するNetflixは「3,668億ドル」。156円/ドルで計算すると「57.2兆円」。

世の中は「フジテレビと中居正広さん」との関係で騒がしい。どうやら日本国内だけでなく、海外からも厳しい目を向けられているようだ。

外部圧力により「パンドラの箱」を開けられつつあるということなのだろう。この表現が「X」のcode of complianceに引っ掛かったようだ。

堀江さんがフジメディアホールディングスの株式を取得したとのこと。20年前の出来事を思い出す。

事態の行く末を注意深く見守りたい。

君もユニコーンを創れるかもしれない!?

London と New York に拠点を持つDefiance Capital(直訳:反抗的な資金)というシードステージに特化したVC兼調査会社が、「ユニコーンの創業者」のバックグラウンドに関するとても示唆に富んだレポートを公表した。

その内容は多くの人たちに新鮮な驚きと希望を与えたと思う。僕もそのひとりだ。

調査対象は、2013年から2023年にかけてユニコーンになったスタートアップ972社その創業者2,467人。

TechCrunchが紹介した内容は、USとUKのユニコーンに関してだが、Defiance Capital 自ら公開したレポートは、USとUKを含むヨーロッパ(Ireland, Germany, Netherlands, Belgium, Switzerland, Denmark, Sweden, Finland, Estonia, Spain, France)を対象にしている。

結論は以下のとおり。

Source : Defiance Capital(以下同様)

USは62%、ヨーロッパは40%が「underdog」創業者によるユニコーン。ここでいう「underdog」は「移民や女性、有色人種等」を指す。尚、ヨーロッパでも、2018年から2023年に新しく生まれたユニコーンに限ると、その「63%強」は創業者に「移民」が含まれている。

USユニコーン創業者の53%は、世界TOP10大学のいずれかを卒業している。

・一方、全員が白人男性、アメリカ出身、アイビーリーグ卒業というパターンは「11%」に留まり、アメリカ人創業者で全米TOP10の大学を出ているのは「1/3」しかいない。

US/UKのユニコーンの約半数(49%)のCEOが「STEM」学位を取得。女性CEOの場合、その数字は「64%」に上る!そして、70%の創業チームに「STEM」ホルダーが含まれいる。

USユニコーンの移民CEO(一世および二世)に関しては、約60%が「STEM」の学位を取得。Definace Capital は「頭脳流出」が原因と推察しているが、その背景には母国では市場規模や資金調達等の面でユニコーンを創れる状況にないという理由があると考えられる。

また、2013年にCowboy Venturesの創業者、Aileen Lee(アイリーン・リー)がユニコーンという言葉を提唱した当時は、ユニコーン創業者の殆どが「アメリカ人の白人男性」だったが、それから10年強が経過した現在、人種のみならず、ユニコーン創業者の「DNA(特徴)」が大きく変わって来ている。

例えば、USユニコーンの「38%」には最低1人以上のアジア系創業者がいる。また、17%は「非白人の創業者だけ」となっている。但し、アメリカと比較して、ヨーロッパではその傾向は低い。

では、それらのユニコーンに投資しているシード・アーリーステージのVCの顔ぶれはどうなっているのだろうか?

結論は、極めて細分化されており、どこか特定のVCに独占されているわけではない。YCが10%SV Angelg6.4%セコイヤでさえ2.8%である。つまり、80%以上のシードファンドがユニコーンを引き当てている! 残念ながら倒産してしまったが、ドリームビジョンの投資先の「Infarm」もユニコーンの一社だったので、僕(弊社)も80%の一人ということだ。

また、移民や女性のユニコーン創業者の21%しかTOP10VCからの資金調達していない(できていない)。一方、創業メンバーに女性がいる場合、男性ONLYの場合よりも、2年早くユニコーンになっている(32歳 vs 34歳)。And only 21% of immigrant and female founders raised from top 10 VCs. Teams with female founders were two years younger than all-male teams when founding their unicorns (32 versus 34).

では、ユニコーン創業者になる起業家のモチベーションは何なのか?

この問いに対する回答は、定量的ではないとしているが、ユニコーン創業者へのインタビュー(Podcastで公開している)等を踏まえて、以下のように分析している。

No Plan B(代替案は無い):彼らは恵まれた環境にはなく、それ以外に選択肢がない。

Chip on the shoulder(社会を見返したい!):過去に大きな挑戦、懐疑、挫折に直面。

Unlimited self belief(揺るぎない自信と信念):家族環境や周囲に優秀な人たち。失敗を恐れない。

では、そのようなモチベーションは何から創られたのか?(どこから来るのか?)

Defiance Capital の分析では、ユニコーン創業者の多くは、価値観、労働倫理、野心のすべてが幼少期に確立され、成長思考を身につけることを余儀なくされている。

そして、その多くは、生まれ育った環境で不当な扱いを受けたり、限界を感じたりという個人的な体験を持っている。女性創業者、有色人種、神経障害者、非典型的な経歴を持つ創業者など、何世代にも渡って不遇な環境にいた人たちに、こうした特徴が観察された。
また、その多くは「野心的な反逆者」であり、自分自身の価値観や強い関心を寄せる社会課題に突き動かされていることが多く、家族にロールモデルがいたり、周囲に優秀な人たちが存在し、失敗を恐れない傾向があるという。

僕自身はユニコーンを創業したことは無いが、価値観、労働倫理、野心のすべてが「幼少期」に確立されたという分析には、とても納得が行く。教育に対する問題意識を持ち、自分にはその能力が無いと思い断念したが、2006年3月、ドリームビジョンで、EdTech(当時はそのような概念もテクノロジーも無かった)の事業を立ち上げたいと思ったのは、小中学校時代の理不尽な経験に基づいている。

最後に、Defiance Capital(いい名前だ!)創業者 Christian Dorffer がレポートの最後で「Reflections on the future」としてまとめていたことを紹介したい。

スタートアップエコシステムの成長により、潤沢な資金、USと比較して割安な人件費、「ユニコーンがユニコーンを生む」というスパイラルを踏まえて、彼はヨーロッパでのユニコーンが増えるだろうと予測している(ユニコーンの創業に参加した人たちが次は自分たちで創業する、ユニコーン創業者によるエンジェル投資等)。特に、UK、ドイツ、スウェーデン、スイス、フランス、オランダを母国とする起業家たちに期待できると予測している。

また、新興国からの移民に関しては、「カルチャーに溶け込みやすい」という理由で、ヨーロッパよりもアメリカを指向するだろうとしている。一方、STEMホルダーの30-40%が他国からの移民であり、またその30-40%が女性である事実により、北欧のユニコーンが増加するだろうとしている。

また、YCやSeedcamp等の実績に基づいたコミュニティに入ることによる、有力なVCとの接点やパブリシティ効果により、その重要性を増すと予想している。

一方、最後の最後に、彼らの調査レポートで紹介したデータ(ニコーン創造におけるYCやSV Angel, Seedcampを含めたブルーチップ銘柄のシェアは約20%)に基づき、現在および将来のヴィンテージにおいて、最もパフォーマンスの高いシード・ファンドのいくつかは、社会的地位の低い、今までスポットライトが当たっていなかった創業者に特化した新しいファンドになるだろうと予測している。

では、日本からたくさんのユニコーンが生まれないのか?

あまりに恵まれている! でも、たかだか1億人しかいない。それでも、スタートアップにとっては充分に大きい市場。顧客は全員日本人。異文化を理解する必要がない。等々

これは自分で作成

今さら遅いと言う方も大勢いらしゃるかもしれないが、僕はこの先の人生をそこに懸けようと思っている。

2度目のコロナと誕生日。

コロナは妻で止まって欲しかったが、次男にも感染。61回目の誕生日は「主夫」として迎えた。週明け4/1に入学式の長男は何とか無事、逃げ切ったようだ。その長男は連絡もよこさず初の無断外泊・・・(正確には着信に気づかず)。まあ、明後日から大学生だしなw。

子供の頃は、60歳と言えば、もう完全な老人だったが、日本人の寿命は伸び、リンダ・グラットンのお陰で人生は100年時代になった。健康を保てれば、まだまだ先は長い。とは言え、頭も心も身体もそれなりに動くのは、あと10-15年だろう。

そんなわけで、この先の人生のグランドデザインを考えている・・・。

Times Square in New York City. March 7th (Thu), 2024

我が家では、家族の誕生日は全員でケーキを食べてお祝いするのがお約束だが、今年はケーキどころではなくなった。そんなことで、今年の誕生日記念のfacebook投稿にはケーキの写真は載せられず、6-7年ぶりに訪れた僕の大好きなNew York City の写真を載せることにした。

NYCは2泊3日、それも初日と三日目は移動日で、フルに滞在したのは中日の一日だけ。超短期滞在だったが、改めて、いつか住んでみたい街だと実感した。

今回のNYC訪問は、武蔵野EMCの学生たちの引率。彼女たち(5人中4人は女子!)にとっての「学び」を最優先にすべてのアポを設定した。ボストンから移動してきた初日は、まず、ホテルから徒歩圏にある「Times Square」へ。記念写真を撮った後、アメリカの象徴とも言えるロックフェラーセンターを訪問。1980年代後半のバブル絶頂期(1989年10月)には、三菱地所がロックフェラーセンターを買収した話をした。彼女たちが生まれる10年以上前のことだ。

その後、彼女たちにとって初めてのNYCの地下鉄でダウンタウンに!投資先のPeatix NYCスタッフのDaniel と一緒にEast Village のイタリアンレストランで食事をした後は、NYCで100年続くスウィーツのお店に移動。NYCはどんな街か?について、Danielから話をしてもらった。

Rie-san とEMCの学生たち at セントラルパーク in NYC. March 8th (Fri), 2024

翌日の午前中は、10数年来の友人の「Rieさん」とセントラルパークで待ち合わせた。5人中4人が女子ということもあり、日本人女性の生き方のロールモデルとして、きっと参考になるだろうと思い、NYCに住むようになった経緯や今までの人生について話をしてもらった。彼女の話は女子4人だけでなく、唯一の男子にもとても参考になったようだ。

Rieさんと分かれた後は、プラザ合意で有名な「The Plaza」まで歩き、そこからLyftで「Astoria」というQueensにある街に移動。偽物を判別する「A.I.スタートアップ Entrupy」の創業者のVidyuthと前日に続き Peatix の Danielとランチを食べた。Vidyuthはインド人で、外国人がNYCで起業家として生きることの意味、その苦労と醍醐味に学生たちは痛く感動していた。

右側中央の男性2人が奥からDaniel at Peatix, Vidyuth at Entrupy. at Astoria in New York.

ランチの後は、East Riverまで30-40分歩き、ボートでダウンタウンまで移動した。両側を川に囲まれているマンハッタンには、Uber/Lyft, 地下鉄やバス以外に「ボート」という移動手段があることを経験すると同時に、絶景を楽しんだ。船を降りた後は、Wall Steet を通ってNew York 証券取引所の前を通り過ぎ、Grand Zero(World Trade Center 跡地)を訪問。5人とも神妙な表情をして見入っていた・・・。

Grand Zero Memorial in NYC. March 8th (Fri), 2024

NYC最後の夜、ダウンタウンを散策し、ホテルに戻った後は、近くにあるイタリアンレストランで、今回の研修旅行を振り返った。入口近くの席にいた太ったイタリア人の男性はオーナーで、帰り際に言葉を交わしたところ、大学教授では儲からないから、また事業をやって一発当てて、NYCに店を開いてくれ!とのことだったw。さすが、イタリア人、ユーモアのセンスがある。

ところで、4/7 (日) 日本時間の朝10時から、サンフランシスコに住む愛宕翔太さんという若い起業家と、Podcastをすることになった・・・。僕が日々書いているシリコンバレーのスタートアップやVCに関すること、日本のスタートアップエコシステムのこと、僕自身の起業家として、またエンジェル投資家として感じていることを踏まえて、シナリオもなく、ざっくばらんに話をする予定である。

乞うご期待!

「VCエクスプレス」は途中下車できるのか?

INITIALのスタートアップファイナンスはいつも拝読している。シリコンバレーを中心とするグローバルなスタートアップファイナンス市場とデカップリングされている日本において、2023年にどのぐらいの金額が日本のスタートアップに投資されたのか? 2023年のフルレポートが待ち遠しい。

シリコンバレーでは今、ベンチャーキャピタルから資金調達をしたものの、できることなら、そのレールから降りたいと考えているスタートアップの創業者が多いらしい。

英語になるが、興味のある方は、Precursor Ventures というシード・アーリーステージにフォーカスしたVC創業者 Charles Hudson のニューズレターを読んでみて欲しい。非常にシャープな視点の持ち主で、多くの読者が付いている。

シリコンバレーでは、シード資金を調達したファウンダーで、シリーズAに辿り着けるのは、極一握りの人たちだ。

crunchbaseによると、米国のシリーズAに投資された資金は、2021年Q4「US$14.38B (約2兆円)」から、2023年Q1「US$4.45B (約6,300億円)」と、1/3 以下に急降下していおり、その後はフラットな状態が続いている。そのような状況を踏まえて、これ以上、VCからの資金調達を必要とするビジネスをすることに不安を感じても不思議ではない。

僕は2000年に、インタースコープというインターネットリサーチ(以下、ネットリサーチ)のスタートアップを共同創業し、ベンチャーキャピタルから資金調達をした。当時はビットバレーなるムーブメントの真っ只中で、ネットリサーチ市場に参入している会社は、優に100社を超えていた。

その中で、後に当時の東証マザーズに上場し、その翌年に東証一部に移籍上場したマクロミル、2005年にYahoo! JAPANにM&Aでエグジットしたインフォプラント、そして、僕たちのインタースコープ(2007年2月にYahoo! JAPANにエグジットし、インフォプラントと経営統合)が頭角を現し、業界の御三家と言われるようになった。

その中で最もVC投資(VCから資金調達をし、事業を急成長させる)に向いていたのはマクロミルだった。

マクロミルはリクルート出身のメンバーが立ち上げたスタートアップで、対売上高営業利益率が30%という、超高収益なビジネスモデルだった。

インフォプラントは、テレビ番組の制作プロダクションを経営していた大谷さんという方が立ち上げたスタートアップで、収益性は高いとは言えないが、御三家の中で、一番最初にスケールした。典型的な「破壊的イノベーション」の事例だった。

インタースコープはというと、御三家の中で最もCutting Edge(イノベーティブ)なビジネスをしていたが、あまりに多くのことをやり過ぎていて、スケールさせるには、フォーカスが必要だった。

マクロミルの財務データを見てみたところ、2022年度の売上498億円、EBIDA86億円。ネットリサーチという市場自体が成熟しており、新しいビジネスを創造する必要があり、株価的には苦戦しているが、売上&利益の絶対額としては素晴らしいと言える。

ところで、何事にも向き不向きがある。

僕がサンブリッジ グローバルベンチャーズというアクセラレーターを経営していた時、まさしく、今回のポストで書いているようなことがあった。

ある投資先で、創業者全員がエンジニアで、非常にイノベーティブなプロダクトを開発している会社があった。元々は「受託」事業をしていたが、スケールさせる事業を作りたいと思っていたようだった。

僕らが投資する際に、創業者たちに訊いたことがある。リスクマネーを受け入れるということは、スケールさせることが「至上命題」になる。そのゲームに挑む覚悟があるのか?と。

答えは「YES」。僕たちは投資を実行した。

しかし、人間はそう簡単に変われないのと同じように、会社もそう簡単には変われない。会社を経営するのは人間なので。

彼らは極めて技術力が高く、素晴らしいプロダクトを開発していたが、細部に対する拘りが強く、Duffusionというと語弊があるかもしれないが、スケールさせるために「機能と価格」を押さえた廉価普及版を開発し、量を狙っていくことは、ネイチャー(性質)やDNAとして、抵抗感があったのだろう。

頭では理解していても、心が付いてこないというか、経営者として事業をスケールさせる(ビジネスを成功させる)ことには、モチベーションを持てなかったように思う。

結局、お互いによく話し合った結果、僕らは投資した時の半分のバリューで、彼らの株を彼らの関係者に譲渡した。考えられる選択肢の中では、ベストな結果だったと思う。久しぶりに彼らのウェブサイトを見たが、活況が見て取れた。元気に楽しくやっているようだ。

ところで、日本では「小粒上場」に関する問題提起がされて久しいが、それがネットバブル以降、日本のスタートアップエコシステムを成長させることに寄与してきたことは否めない。

各国やエリア毎にカルチャーやエコシステムが異なるわけで、シリコンバレーを真似しても上手くいくことはない。ネットバブルから四半世紀が経ち、2022年には「1兆円」近い資金が日本のスタートアップに投資されるまでになった。

今後の日本のスタートアップエコシステムの成長に必要不可欠なのは、いかにして「Globalized & Diversified(グローバル化と多様性)」を実現していくかである。

自分なりに出来ることをして行きたい。

謹賀新年!Happy New Year 2024!

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い申し上げます。

ここ10年は毎年元旦は実家に帰省し、裏磐梯のグランデコスノーリゾートでスキーをするのが恒例になっていたが、今年は子どもたちの「ダブル受験」があり、東京の自宅で過ごしている。

Facebookへの初投稿もゲレンデの写真を載せることができず、ChatGPT4 (DALLE-E) にpromptを出し、イラストを描いてもらった。英語でprompt を書いたせいか? 僕だけ西洋人っぽい顔になっているw。

他のイラストでもそうなのだが、どうもChatGPTは「算数」が苦手らしい。僕は「二人の子供たち」とスキーに行った絵とリクエストしたのだが、僕以外に「3人」の子供たちが描かれている。実は、最初に頼んだイラストは、リクエスト通り、僕と2人の子供たちが描かれていたのだが、2024 という数字を入れることを伝えるのを忘れており、もう一度、イラストを描いてもらったところ、子供が3人になっていた・・・。

でも、彼らの従兄弟(大学2年生)も一緒に行ったと思えば、悪くない。イラスト自体は、3人バージョンの方がイイ感じなので。

ところで、今年の抱負を書く前に、2023年を振り返っておくことにする。

With the three founders. Guy at left, Erez at my right side, Osnat at right at the old office in 2017.

僕にとって2023年は、兎にも角にも「The year of Infarm」だった。

2023年1月12日 (木)、日本時間18:00、Infarm 創業者の一人、CEOのErez との臨時のMTGがあった。

その翌週の火曜日に、彼との月イチの定例MTGが予定されていたにも関わらず、彼の秘書からメールがあり、1/12 (木) にMTGがセットされた。あと数日待てば話ができるにも関わらず、急遽、MTGがセットされたということは、つまり、悪いニュースだろうことは容易に想像がついた。

Zoom 越しに彼の顔が映し出され、新年の挨拶をした後、僕は「It must be bad news, right?(きっと悪い知らせなんだよね?)」と訊いたところ、「Yes. Unfortunately, the board decided to shutdown the Japan operation.(そうだ。取締役会が日本市場からの撤退を意思決定した。)」という返事だった。

When should we close our business?(いつまでに閉めればいい?)」と訊くと、「Yesterday.(昨日までに)」という単語が返って来た・・・。

その後のことはブログにも書いたので、ここで改めて書くことはしないが、Infarmに投資し、日本法人を設立、そして、約3年に渡って経営してきたことは、僕にとっては得難い経験になった。

野菜を生産しているとはいえ、収益構造的には「完全な製造業」であり、多額の「設備投資」が求められる事業で、累計「US$604.5 million(USD/¥142で計算すると約860億円!)」を資金調達をするような事業は初めてだった。もちろん、すべての資金調達は本国側で行っており、日本法人としてファイナンスしたわけではないが、そのダイナミズムは株主としても、日本法人の経営者としてもヒシヒシと感じていた。

Infarm はベルリン発祥で、日本を含めて「11ヵ国」で事業をしており、一時期、1,200人ほどの従業員がいた。ドイツ企業にも関わらず、ドイツ人比率は、おそらく2割程度しかいなかっただろうし、英語がネイティブなスタッフも同じく2割程度だったと思う。そして、国籍はなんと「50ヵ国」以上あった。当然、社内公用語は「英語」だった。

また、日本法人の経営者だった僕は、約20人ぐらいが参加する、四半期に1度の幹部会議に呼ばれていたが、彼らの国籍も10ヵ国ぐらいで構成されていた。

そのような「多様性と国際性」に富むスタートアップの経営陣の一角としての経験を踏まえると、日本のスタートアップは「モノクローム」に見える。創業者は全員、日本人、従業員もほぼ全員、日本人。株主も日本のVCや日本企業、顧客も日本企業 and/or 日本人という構造では、グローバルな事業を創るのは極めて困難だろう。

今のところ、世界第3位のGDP(市場)があるが故に、ガラパゴス化して成長していけるが、出生率や移民政策が大きく変わらない限り、わざわざブログに書くまでもなく、確実に市場は縮小していく。

ところで、昨年12月21日(木)、僕が株主の一人でもある「Musashino Valley」というStartup Studio 兼 Co-working spaceで、サンブリッジ時代から行ってきた「シリコンバレーツアー」の「拡大同窓会」なるイベントを行った。

新卒でアップルジャパンに就職し、10数年を経て「チカク」というスタートアップ(アップルでの経験を活かし、IoT端末を開発!)の創業者のカジケン(梶原健司さん)と、FinT というスタートアップの創業者で、ツアー参加当時は大学1年生だった大槻祐依さん、そして、Musashino Valley の運営企業の創業者で武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の学部長の伊藤羊一さんを交えて、我々日本人にとってのシリコンバレーという存在の意味や影響力、そして、事業を立ち上げて成功させるために必要なことに関して、ざっくばらんにパネルトークを行った。

僕が最も印象に残っているのは、カジケンが説明してくれたアップルの「TOP100」と呼ばれていた(そう言っていたと思う)経営幹部を対象とした会議のことだ。

その会議に招集される経営幹部は、Steve Jobs がファーストネームを憶えている「100人」で、パソコンもiPhoneも取り上げられて、3日間、缶詰になり、会社(事業)の将来を議論していたという。

そこで、その100人は、Steve Jobs から、自分にとって「重要な10個のテーマ」を書き出すように言われ、それを発表した後、その内の「7個」は「捨てろ!」と指示されたという。

「選択と集中」。言うのは簡単だが、人間は「可能性があるものを捨てる」ことに躊躇するし、それには「勇気」が必要だ。ドラッカーのいう「劣後順位」というやつだ。

昨年、特に後半3ヶ月の僕は「欲張りすぎていた」と思う。次のビジネスやステージに進まなければいけないのは重々理解していながら、Infam日本法人の清算業務が終わっていなかったり、自分の年齢(昨年3月で還暦になった!)のことが気になったり、ある意味、ありがたい話だが、欧州のFoodTech系スタートアップから日本市場参入に関する相談があったり、投資先の資金調達を手伝ったりと、何だかんだと慌しくしており、焦っていたのだろう。

そんな時、カジケンの話は「胸に突き刺さった」。あのパネルトークはマジで勉強になった。

それからもうひとつ。昨日の紅白で久しぶりに「ルビーの指環 (音が出ます!)」を熱唱した「寺尾聰」は、なんと76歳!という事実を知り(今朝、とある知り合いのFB投稿で知った)、勇気をもらった。僕もあんな76歳になりたい!と思った。

そして、60代は、まだまだフルスロットルで行ける気がして来た!!

「獺祭(だっさい)」で知られる旭酒造(山口県岩国市)の桜井博志会長は、70代で米国に拠点を移し、さらなる挑戦をされるそうだし!

2024年は、予てから温めていた日本のスタートアップエコシステムに「多様性と国際性」をもたらすことを目的とした、あることを立ち上げようと思っている。

近いうちに、このブログで詳細を説明したい!

「令和の減税」と「昭和の主婦像」。

僕がブログを書いたところで、日本の政治や社会が変わるとは思わないが、何もせず、沈みゆく船を眺めている(乗っている)のは自分の価値観にそぐわないので、思うところを文章にすることにした。

以下は僕が最近読んだニュースやコラムだ。読んだ順番に掲載する。

日本のGDPが世界4位に転落へ…さらに落ちぶれる前に「主婦年金」「配偶者控除」を廃止すべき理由(by 鈴木貴博氏

もう何十年も前からふざけた制度だと思っていたが、彼のコラムを読み、よりいっそう腹立たしくなった。そのような時代遅れな昭和の主婦像」というか「夫婦の関係」というか「家庭観」を放置したまま何もしようとしない政治家に対して。

日本の一人当たりGDPは「約34,000ドル」で、経済力で見ると「第3集団」になる。この集団の特徴は「かつては世界のトップだった国が斜陽化したものと、韓国、台湾のように経済が発展して追いついてきた国や地域(by 鈴木貴博氏)」だ。

今年の春先、シンガポールに住む日本人起業家の友人が来日した際、久しぶりに会い、ランチをしながら色々な話をした。彼は「日本のイタリア化」という表現を使い、外から見た日本の印象を説明してくれた。イタリア関係者には大変失礼かもしれないが、イタリア同様、大多数の外国人にとって、日本は「観光目的」で訪れる国であって、ビジネスをしに来る国ではないという意味だ。言い得て妙である。

社会人で尚且つ結婚している人なら「配偶者控除」という制度の説明は不要だろうが、パートタイムで働いている人が「年間106万円」を超える収入を得ると、社会保険料が「16万円」かかるようになり、年収が「90万円」になってしまう。鈴木氏が解説しているとおり、仮に時給1,000円だった場合、160時間分の時給がパーになる。さらに、年収130万円を超えると「扶養家族」から除外され、所得税が増えることになる。

なので、パートタイムで働く多くの既婚女性は、106万円と130万円を気にして働くことになる政府は、パートタイムで働く既婚女性に「あまり収入を得るな」と言っているに等しい。

GDPは「一人あたりの生産性 x 人口」であり、何故、政府はそのような働く意欲を阻害する制度を撤廃しようとしないのか? こうしてブログを書きながら、改めて腹が立って来た。

鈴木氏のコラムによると「イギリスでは配偶者と世帯主を合算にして税申告させるのは男女差別だとして、90年代にはすでに、それぞれがそれぞれの申告をする制度に変更されています」ということだ。

確かに、106万円のパートタイム収入が「90万円」に減ってしまったら、一時的には「不平不満」が噴出するだろう。かといって、この時代遅れな制度を放置しておくのなら、間違いなく、日本はさらに落ちぶれていくことは必至だ

詳細は鈴木氏のコラムを読んでいただければと思うが、時給1,000円で月間300時間も働くわけにはいかない。となると、能力と意欲があり、子育て等、家庭の事情が許す方であれば、自ずと、フルタイムの仕事を求めるようになるはずだ

そのためには、夫が今までよりも家事を負担する必要が出てくるし、管理職に占める女性比率が向上するだろう。そういう僕は、妻からは、まだまだ家事負担が足りないと言われているが・・・。

労働政策・研究機構によると、管理職に占める女性比率は、アメリカ:41.1%イギリス:36.6%フランス:35.5%ドイツ:28.1%スウェーデン:42.3%シンガポール:37.2%フィリピン:53.0%となっている。対して、日本は「13.3%」だ。

要するに自民党は、昭和の価値観から脱却する意志が無いのだろう。そして、多くの国民もそれを支持しているのかもしれない・・・。なんとも哀しい現実だ。

「平和は尊い。だが、もっと尊いのは…」サッチャーと日本の“政治屋”の決定的な違い。

故マーガレット・サッチャーは僕が大学生や社会人になりたての頃、イギリスの首相だった。来日されたこともあり、「鉄の女」という称号も含めて憶えているが、彼女の政治思想や信念についてはよく知らなかった。

国際ジャーナリストの「落合信彦氏」のサッチャー元イギリス首相に関するコラムを読み、改めて思ったことは、政治家に必要なことは、不都合な真実を語り、不人気な政策であっても、それが自国の将来にとって必要不可欠なことであれば、断行する勇気と姿勢が必要ということだ。政治家に限らず、組織のリーダーにも同様なことが求められる。

日本の政治家はどうか? 政府債務が「1,000兆円」を超える中、たまたま予定よりも税収が増えたからと言って、国民に4万円だか、7万円だかを還元するというのは、理解に苦しむ。ポピュリズムと言われても仕方ないし、ましてや、日経新聞の世論調査では「65%」の人が「適切ではない」と回答している。そして、支持率は政権発足後、最低の「33%」となった

サッチャーに話を戻すと、彼女は首相在任中、フォークランド紛争への派兵の決断、また、1970年、ヒース内閣で教育大臣に就任した際には、膨らむ一方の公的支出の削減のため、学校における「牛乳の無償配給の廃止」を決定し、「ミルク泥棒」と避難され、抗議の嵐を巻き起こしたそうだ

翻って日本はどうだろうか。与野党問わず政治屋たちは、選挙のたびにバラマキ政策を掲げ、その一方で増税の「延期」「凍結」を訴えて借金を雪だるま式に膨らませている。彼らの頭の中には、この国の未来を担う将来世代のことなど微塵もないのだろう。あるのは自身がいかに当選するかだけだ

 サッチャーは先のインタビューで若者たちに向けたメッセージとして、次のように発言している。彼女の人生哲学、政治哲学が凝縮された言葉なのでここで紹介したい。

「将来のためを思えば、時にはきついこと、不人気なこともせねばなりません。ここに信念の大切さがあります。甘いウソよりも苦い真実に直面できる勇気を持つこと、そしてそれを人々にぶつけられる信念と情熱を持つことです」。(落合信彦氏のコラムより)

最後に「日本経済新聞(2023年11月3日)」の一面に掲載されていた記事を紹介したい(有料会員限定の記事)。

これが未来向いた対策か」論説委員長 藤井彰夫

日本の名目GDPがドイツに抜かれ世界4位に転落するという国際機関の見通しが話題になったが、その理由は円安だけでなく中長期の日本の成長力低下だ成長力底上げに必要なのは一時的な需要追加ではない

潜在成長率上げにつながる規制改革や、将来不安を除く社会保障・財政構造改革も重要となる。目先の選挙ではなく未来世代と向き合う政策を求めたい(記事より抜粋)。

どうしたら変えられるのだろう? 諦めたくはない。