エリック・クラプトン

実は、僕はエリック・クラプトンと誕生日が同じである。

その事実を知ったのは、かれこれ10年ぐらい前になると思うが、あるエピソードがある。

僕らの結婚式の立会人は、80年代に一世を風靡した「H2O」というデュオの一人だった「赤塩正樹」夫妻だが、彼の言葉で印象に残っていることがある。

彼と知り合ったのは、僕が学生の頃なので、もう20年以上も前のことになる。最近、昔のことを思い出す度に、年を取ったことを再認識させられて、少々ガッカリしてしまう。

いつだったか、彼が、「クラプトンは年を取るに連れて、どんどん良くなるよね」と言っていたことを思い出す。

エリック・クラプトンを知らない人のために簡単に解説すると、クラプトンは「ギターの神様」と言われたほどにギターが上手かったわけだが、ロックギタリストの場合、50才を過ぎるとさすがに衰えるというか、往年の切れ味はなくなると思うが、クラプトンの場合、それがどんどん良くなっていくと言うのだ。

また、こんな話しもある。

田坂広志さんのメルマガで読んだ話しだったと思うが、彼らの「顔」を見せないで、年齢が大きく異なる3人のバイオリニストにバイオリンを弾いてもらい、子供達にどの人が最も「若い」かを当ててもらったところ、最も年上のバイオリストのことを「最も若い」と全員が回答したそうである。物理的な年齢ではなく、「感受性」が年齢を決めるのかもしれない。

ところで、今日の午後、こんなシーンに遭遇した。

渋谷のある交差点で信号待ちをしていた時、僕の前に、自転車で書類を配達する「Bicycle Messenger」の男性がいた。

彼はロードレーサータイプの自転車に乗っており、信号が変わると同時に、筋肉を躍動させて走り去っていった。彼の後ろ姿をみていて、ああいう「躍動感」は若さゆえであり、今の僕には望むべくも無いだろうなと思った。少々物悲しいものがあった。

精神的にはいつまでも若くいることができても、やはり、肉体は確実に衰えていく。そのことは止めようもない。女の人の気持ちが少し分かるような気がした。

人生は短い。だからこそ、刹那的という意味ではなく、今を楽しみたい。