サントリーモルツ。

2年ぐらい前(子供が生まれる少し前)から自宅であまりビールを飲まなくなったが、サントリー「モルツ」のリニュアルは気になっていた。

僕の記憶では、僕が大学生の頃から社会人に成り立ての頃に、サントリーからは「モルツ」、サッポロからは「クオリティ」というビールが発売された。「クオリティ」は残念ながら途中で製造中止になってしまったが、モルツはロングラン商品として育ってきた。

ある時、サントリーの商品企画の方とお話しする機会があり、モルツの話をしたことがある。

発売当初の「モルツ」と「クオリティ」は、両方共に「麦芽100%」「天然」「良質」といったコンセプトを打ち出しており、美味しいの勿論、「イメージ戦略」も巧みだった。

しかし、残念ながらサッポロのクオリティは廃盤になり、モルツは「大衆路線」に方針を転換した。それが、今回のリニュアルで、また、「天然・麦芽100%」といった「ナチュラル路線」を強化したように見える。その理由は何か?

初期のモルツは「ある特定の人には支持された」ものの、「量」を稼ぐブランドにはならなかったようで、より「大衆」にウケルことを狙ってポジショニングを変更した。結果として、売上は伸びたのだろうが、キリンの「ラガー」や「一番搾り」とどこが違うわけ?=「個性に乏しい」ブランドとなってしまい、恒常的なキャンペーンをしないと「数字」が維持できなくなったのではないかと思う。それで、原点回帰(自分の個性を再認識)をしたのではないか?というのが平石の私見である。

ところで、昨晩、三井物産100%出資のベンチャー企業で副社長をしている方と会食をした際に、その方が「資本主義の限界(複利のリスク)」という話しをしていた。因みに、銀行の預金金利が「5%(複利)」だった場合、元本は「14年」で倍になる。

彼が言っていたのは、人間は「複利=レバレッジが利く」と際限無く拡大を求めてしまい、いつか「限界」に達する時が来る、そして、限界に達すると「崩壊」してしまう、ということだった。歴史を遡れば、豊臣秀吉が朝鮮出兵をして失敗したのも、飽くなき「拡大」を追及したからのように思う。

「営利」を追求する企業という組織においては、より多くの「売上」を求めるのは自然な成り行きであるが、自社なり自分の「器」を超えて「拡大」を求めることは、必ずしも良い結果を生まないということだろう。

過剰流動性がもたらす「巨大ファンド」に関しても、はたしてペイするのか?という疑問が沸いてくる。

ETICが主催するSTYLE(社会起業家ビジネスプランコンテスト)の審査員としてご一緒させていただいている田坂広志さんとアレン・マイナーさんが、ふたり揃って「資本主義の未来」に言及していたことが印象に残っている。