アメリカが「金融」と「I.T.」で一人勝ちの理由。

昨日のエントリーで紹介した元ソニーCEOの出井さんの講演で、「なぜ、アメリカが金融とI.T.で一人勝ちになったのか?」に関する話しがあった。

これは、出井さん以外の方も仰っていることだが、「冷戦」が集結したことにより、「軍事産業」に従事していた優秀なエンジニアが、「金融工学」と「情報技術(I.T.)」に流出したことが、今日のアメリカの一人勝ち状態をもたらしたとしている。

この話に関連することとして、デジタルガレージ共同創業者の「JOI(伊藤穣一氏)」は、ネットバブルが弾けたことにより、それまではAOLやeBayと言った大手のネットベンチャーに囲い込まれていた優秀なエンジニアが、草の根ベンチャーを興したり、若いベンチャーに流出したことが、Blogを代表とする「Web2.0」の流れを創ったとしている。

一言で言えば、「産業間における労働力の移動」ということになる。

では、日本では、そのようなダイナミックな産業間の労働力の移動があるか?

僕がインタースコープを創業した直後は、いわゆる大企業からネットベンチャーへの若い人材(20代)の流出が見られたが、そのわずか1ヶ月後、ネットバブルが崩壊すると、磯の蟹が退くように、ささささっと、その流れが止まってしまった。

日本人の国民性なのか? 終身雇用制度の問題なのか?

ダイナミックな労働力の移動という意味では、近年では、明治維新による武士階級の平民への移動が最も大きな出来事だったのではないだろうか?

ちょっと意味合いが違うが、昭和の高度経済成長期に、工場労働者として、農村から都会に人々が移動したことも、大きな移動と言える。

さて、歴史的に大きな転換期の今、労働力の移動が必要だとすれば、どのセクター(衰退する産業)からどのセクター(成長する産業)に人が移動する必要があるのか?

ここでポイントは、衰退する産業に従事している「優秀な人材」が、成長産業へ移動する必要があるという点である。

はたして、どんな可能性があり得るのか? 知り合いの経済学の教授に聞いてみようと思う。