オプトは、電通の軍門に下ったのか?

僕は、そうは思わない。

昨日(3/18)の日本経済新聞の15面。

「生き残れるか ネット広告仲介(上)」と題する記事に、「(オプトが)広告最大手の電通の軍門に下った理由は広告主の反応にある」という表現があった。

この記事を書いた記者の方の意図することは何のか?その方の言う「軍門に下る」の定義は何なのか?

オプトが電通の「持分法適用会社」になったというのは事実であるが、そのことイコール電通の「軍門に下る」ということなのか?

いつだったか、カブドットコム証券が「三菱東京UFJ銀行(25.96%)」と「三菱UFJ証券(10.57%)」と資本提携した時は、僕の記憶が正しければ、「三菱東京UFJグループ」の「軍門に下った」とは報じていない。

むしろ、三菱東京UFJグループとして、個人株主を取り込むために、カブドットコム証券と「資本提携をした」と報じている。

つまり、グループの証券会社(三菱UFJ証券)のリソースだけでは、需要が伸びているオンライン証券には対応できない、という観点に立ち、記事を書いている。

さて、話しをオプトと電通の「資本提携」に戻すと、その記事の中には、こんな記載がある。

「(ネット広告の)市場拡大のスピードに電通でも体制整備が追い付かず『ネット広告の提案さえできていないケースもまだ多い(松下常務)』のが実情。オプトから出向するネット市場に精通した50人の営業部隊は『大戦力』(同)だ」。

これは、単独では個人投資家を取り込めないメガバンクグループが、オンライン証券と資本提携した理由と同じではないか?

それにも関わらず、なぜ、オプトの場合は「軍門に下る」となるのか?

新聞というメディアは「ジャーナリズムの筆頭」のはずである。であれば、「軍門に下る」などという「文学的」表現を使う必要はなく、事実を事実として「資本提携」をした、あるいは「持分法適用」会社になったと書けば済む話しである。

明らかに、ここに何らかの「恣意性」があるとしか思えない。

日本経済新聞は「金融」や「株式市場」に関する「業界紙」であり、ネット広告は「新聞広告」を脅かす存在であり、自社の「広告枠」を販売してもらっているのは電通を筆頭とする既存の広告代理店である、という利益構造が、カブドットコム証券とオプトに関する記事の違いなのではないか?と思ってしまうのは、僕だけだろうか?

今日は、たまたま、ベンチャー関連の人たちとのブレックファストMTGと夜のイベントがあったが、僕だけでなく、僕が直接、言葉を交わした人たちは、ひとりの例外もなく、僕と同様な見解を持っていた。

本当は昨晩、このエントリーを書こうと思ったのだが、僕はオプトのハチ(鉢嶺氏)とは15~16年の付き合いであり、多分に個人的感情が入ってると思ったので、一晩寝て、クールダウンしてから書くべきだと思い、こうして今、書いている。

もうひと言、付け加えるならば、オプトの記事に使われている写真に移っているハチの表情は、仏頂面だ。まさしく、記事の内容とぴったりの表情である。つまり、敢えて、あの記事の「文調」に合う写真を選んだのではないか?と思ってしまう。

何故なら、記者会見では、それこそ腐るほどたくさんの写真を撮っているはずであり、記事に使われた写真以外にも写真はあるはずだからだ。

ホンダもSONYも、昔はベンチャー企業である。

次なる産業を育成(応援)して欲しいとまでは言わないが、わざわざ「文学的」な表現を使ってまで、ベンチャー企業に対するネガティブなトーンの記事を書かなくてもよいのではないか?

事実を事実として伝えるのではなく、新聞社としての「考え」を伝えるのであれば、「社説」で書くべきではないか?

僕はそう思う。