あまりに多くのことを求めすぎない。

2日間のAIIを終えて昨夜遅くに東京に戻り、今日の午前中は、午後からの法政大学経営学部でのゲスト講義に向けての資料の作成をしていた。

やることがたくさんあるのは事実だが、一度に多くのことをやろうとし過ぎる傾向にあるのも事実である。

話しはAIIに戻るが、台湾を代表する起業家であるエイサー創業者のスタン・シー氏の言葉が印象的だった。

「あまりに多くのことを求めすぎない」。
「自分の得意分野を整理し、そこに集中する」。
「チャンスをつかむ前に、準備をしておく(自分の能力・スキルを磨いておく)ことが大切(そうでなければチャンスはつかめない)」。

どれも言われてみれば当たり前のことだが、その当たり前のことを実行するのは簡単なことではない。

ところで、以前の僕であれば、スタン・シー氏のようなビッグネームと直接会うチャンスに恵まれた時は、必ずと言っていいほど名刺交換をしていたが、最近はそういう行動を取らなくなった。

相手にとって何らかの価値を僕が提供できなければ、名刺交換をしても先には繋がらないし、自分がそのレベルになれば、自ずとそういう人たちとのネットワークができるということだ。

そのこと自体は以前も理解はしていたかもしれないが、そのことを今までの経験を通じて実感した。異なる見方をすれば、引っ込み思案になったとも言えるかもしれない。

しかし、今回は、スタン・シー氏の周囲に人だかりがないタイミングを見計らって、挨拶をした。

理由は、あるセッションでのシー氏の受け答えのすべてが的を射ており(当然と言えば当然だが)、それも、その場で初めて会った若い起業家(とベテランCEOとのセッション)に対して、とても的確なアドバイスをしており、尚且つ、そこに「深い愛情」が感じられたからだ。

そのシー氏に声をかけ、自己紹介をさせていただくと、なんと「計6回の創業経験のある人だよね?」という言葉が返ってきた。

AIIの資料にある参加者プロフィールで、僕のことも読んでいたらしい。

僕の常識では、シー氏ほどの大物起業家がすべての参加者プロフィールに目を通すとは考えたこともなく、嬉しいという前に、とても驚いた。

台湾訛りの英語で「Six」という単語が聞き取れず、最初は何のことを言っているのか理解できなかったが、僕のプロフィールのことだと分かった瞬間は、にわかには信じられかった。

さて、僕がシー氏との短い会話から学んだことは、より多くの果実を得るには「予習」が極めて大切であるということだ。

自分に出来ること、自分がやるべきことを見定めて、一歩一歩、地道に進んでいきたい。

こうしてブログに書くだけでなく、実行に移そうと思う。