ロシアの「少子化」問題。

昨日の午後、モスクワを発ち、夕方18時頃、ロシア第2の都市であるサンクトペテルブルグ(SPB)に到着。モスクワは晴れていたが、SPBは、みぞれ交じりの雪が降っていた。

ところで、SPBに来てから聞いた話だが、プーチンが大統領の頃、少子化対策として、第2子の出生に対し、250,000ルーブル(現在の為替レートで約75万円)を政府が補助するという「バウチャー(クーポンのようなもの)」制度をスタートしたという。

簡単に言うと、例えば、子供が大学に入学する祭に、その授業料をバウチャーの金額の範囲内で政府が負担するというもの。

用途は限られているが、そこまで待たなくても、制度上は、子供が生まれてすぐに使える対象もあるらしい。

しかし、ある人に言わせると、「Smart people don’t believe it.」とのこと。

ロシアでは1998年に、深刻な通貨危機を経験したこともあり、また、最近の世界的経済危機やルーブル安もあり、ルーブルという通貨の価値や、10年以上も先の政府の約束を信じられるはずがないという。

一方、その制度が施行されてから、子供の数は確実に増えているとのこと。

昨年5月に初めてロシアを訪れた時のエントリーでも書いたが、ロシアでは、ソ連崩壊とその後の混乱を経て、ようやくつかんだ「消費経済の恩恵」を享受することを優先し、子育て世代にあたる人たちが、子供を育てることよりも、消費生活を楽しむことを優先する傾向があるらしい。

また、そうではない人たちであっても、パブリックセクターでの教育や医療制度だけでは充分なサービスを受けることはできず、子供を育てるには「お金」がかかることも、少子化の一員になっているようである。

「ソビエト時代」の名残りと「21世紀(先進国並みの経済)」が共存するロシアでは、様々な社会制度上の問題を抱えている。

「年金問題」等に苦しむ日本も、ある意味で、似たような問題を抱えていると言えるだろう。

まだまだ、ほんの入口に立ったばかりだが、ロシアという国の輪郭が、少しずつ理解できてきた気がする。