「人の世に不変なものは変化のみ」。

1ヶ月程前だろうか? 田坂広志さんが運営されている「社会起業家フォーラム」主催によるトークイベントに参加した際に、「国をつくるという仕事」という本を購入した。

そのイベントのゲストである元世界銀行副総裁の「西水美恵子」さんの著書である。

彼女が世銀の職員として、23年間に渡り、貧困の撲滅のために戦い続けた日々を綴ったもので、決して難しい内容ではないが、あまりに「重厚」であり、文章を読むのが遅い僕には、読むのに根気がいる本である。

彼女が今までに会った中で最も優れたリーダーだと絶賛する「ブータン国王」が、彼女の表敬訪問を受けて政治改革の話をする前に、その前置きとして「人の世に不変なものは変化のみ」と言ったという。

とても考えさせられる言葉である。

ところで、「西水美恵子」さんは世銀での仕事に就く前、米国プリンストン大学で経済学を教えていたらしいが、あることがきっかけとなり、政治の腐敗と貧困に苦しむ発展途上国に赴き、お世辞にも衛生とは言えない民家にホームステイし、どうすれば、その国が貧困から抜け出すことができるか?を草の根から考え実践する世界銀行職員に転じた方である。

僕は、彼女と田坂さんのトークイベントに参加するまで、西水さんのことは存じ上げなかったが、その眼光から、並々ならぬ胆力の持ち主だということが伝わってきた。

心ある人なら誰しも、貧困のない世界であって欲しいと思うだろうが、世界で最も裕福な国の尚かつ知的な職業を捨て、衛生環境劣悪極まりない国々での仕事に飛び込むというのは、そうそう出来ることではない。

そういう意味では、僕は極めて「俗人」であり「煩悩の塊」である。

でも、その「煩悩の塊である俗人」にも、出来ることがあると思っている。

まずは、自分の家族のため、そして、僕が接点のある人達に少しでも役に立つように。

大きなことを考える前に、まずは、そこからである。

追伸:ソフトブレーン創業者の宋文洲さんが4日前、~「大きな」話の虚無~というタイトルのメルマガを書いてた。以下は、その号の最後のパラグラフである。

「日本に貢献したいならば日本に頼らない人間になることです。その時、GDP1.5倍の国債は初めて減少に向かいます。世界に貢献したいならば異なる価値観に寛容になることです。その時、世界はより戦争から遠ざかります」。