マクロミルの杉本さん

杉本さんが、マクロミルの代表取締役に復帰することを知ったのは、先月上旬のことだった。

驚かなかったと言えば嘘になるが、杉本さんの性格を考えると、不思議ではないとも思った。

マクロミルのリリース資料には、厳しい経営環境のことが説明されていたが、一度、代表を退いた杉本さんが代表取締役会長兼社長に復帰することは、杉本さん自身にとって、相当の覚悟があった筈である。

既に、お金も名誉も手にした杉本さんにとって、それらはどうでもよく、自分が創業した会社が、自分が理想とする経営状態ではなくなることが、何にもまして許容できなかったのだろう。

アップルのスティーブン・ジョブスと比較しては褒めすぎだと思うが、それに似た心境だったのではないかと思う。

話は変わるが、僕が山川さんと一緒にインタースコープを経営している頃、インフォプラント創業者の大谷さんとふたりで設立したインターネットリサーチ研究会(略称:IRJ)では、2007~2008年に、インターネットリサーチの市場規模が「約500億円」程度になると推定していた。

500億円には届いていないにしても、インターネットリサーチの市場規模は、400億円程度にはなっていると思われる。

しかし、それはイコール、インターネットリサーチ市場の成長が鈍化していることも意味しており、マクロミルのリリース資料にも書かれているとおり、将来の成長のためには、インターネットリサーチ以外の事業を創っていく必要がある。

競合他社をM&Aで買収していくという方法もなくはないが、異文化の融合は容易くはないし、利益率を重視するマクロミルでは、そういう戦略は採らないだろう。

アップルが「I.T.」に軸足を置きながらも、「マック」から「iPod、iTunes」へと業容を拡大・変革したように、マクロミルが今後、どのような事業展開をしていくのか?そして、インタースコープとインフォプラントが合併してできたヤフーバリューインサイトが、どのような会社になっていくのか?注目していきたい。

そして、それ以上に、僕自身が、平石=インタースコープ(インターネットリサーチ)という過去の遺産から脱却し、どのような人生を切り拓いていくのか?どのような「バリュー(新しい社会的価値)」を創造していけるのか?そのことに、今まで以上に集中したいと思う。

「人の世に不変なものは変化のみ」。

インタースコープ時代、杉本さんからは多くのことを学ばせていただいた。

これからも、彼の生き方から、学んでいこうと思う。