孫さんの「つぶやき」を読んでいると、いよいよ本気でご自身の「後継者」のことを考え始めたのだろうな・・・と思う。
でも、孫さんの後を継げる人って、いったい、どんな人だろう?
僕が20代の時に勤務していたODSというコンサルティング会社の創業者である山口社長(当時)は、「社風は極めて価値の高い経営資源だ」と言っていた。
どんな理由にせよ、いつかは「創業者」はいなくなる。
でも無形の経営資源である「社風(カルチャー)」を「存続」させることはできる。
インタースコープ(iS)の場合、平石(共同創業者)→山川さん(共同創業者)→田部さんと社長をリレーし、2007年2月にヤフーにバトンを渡したが、その間、微妙に変化しつつも、その根底には、iSカルチャーが生きていたと思う。
僕がインタースコープを去り暫くした後、元iS社員の人達とランチを食べたことがあるが、その時のひとりが、こんなことを言ってた。
「(その後、株価がへたってもよかったから)一度は、ドカン!と花火を打ち上げて欲しかったな・・・」。
彼女は、株を持っていたわけでもないし、ストックオプションもたいして持っていたわけでもない。
でも、そういう「ドリーム」を期待していた社員もいた。
株主に対する責任を負う立場の僕たち経営陣としては、それは出来なかったけど、そう言ってくれたことに、僕は救われた思いがした。
一方、言葉にこそ出さなかったにしても、「上場して僕らに何のメリットがあるわけ?(それなりの株を持っている平石さん山川さんや創業メンバーの人達はいいかもしれないけど・・・)」と思っていた人もいると思う。
時間は前後するが、インタースコープを経営していた頃には、こんな意見もあった。
「僕たちが稼ぎ出した利益は、どこへ行ったんだ(平石さんや山川さんのやりたいことに消えていっているんじゃないの)?」
「最近のインタースコープは経営的に安定してきたけど、新しいことに挑戦しなくなったよね・・・」。
パートタイムを入れても僅か100人程度のベンチャー企業にも、色々な人がいる。
その全員の要望を叶えようと思ったら、船はどこへも行けなくなってしまう。
では、その船をどこへ向けるのか?
それを決めているのが「経営理念」であり、創業者と初期のメンバーによって醸成されていく「社風」である。
違う言い方をすれば、その「船の行き先」が自分の行きたいところと違っているなら、早いうちに降りた方がいいし、ビジョナリーカンパニーでいう「誰をバスに乗せるのか?」にも繋がるわけである。
ということは、その船なりバスがどこへ向かおうとしているのか?
その行き先を明確に示す責任が「経営者」にはある。
インタースコープの場合、僕と山川さんという、個性の強い異なるキャラクターのふたりが経営していたことにより、その良い面が出ていた時期もあったが、最後の頃は、そのことによる悪い面が出て、インタースコープで働いていた人達(株主にとっても。おそらく、顧客にとっても。)にとっては、船の行き先がよく分からなくなっていたと思う。
そのことに対しては、今更ながら、大変申し訳なく思う。
さて、話を「後継者」に戻すと、この国の「後継者」は誰か?
そう、「若者」であり、まだ「生まれて来ていない人達」である。
既得権益に必死でしがみついている人達を優遇する日本だった場合、その彼・彼女たちは、どう思うだろう?
そして、1億2,000万人の全員を満足させることはできないという厳然たる事実を踏まえた時、では、この国は、どういう国民を支持・歓迎し、どういう国民はこの国に住むメリットを享受できるのか?ということを「指導者」は「明示」する必要がある。
最低限のセイフティネットは必要だが、僕は「進取の気質に富んだ人達」にとって魅力的な国にしたい。
安心して「挑戦できる国」にしたい。
そのためにも、まずは「自分自身」が「挑戦し続けないとね」。
こうしてブログを書いているだけじゃ、説得力がないからね・・・。
職業は何だっていい。「生き方」が大切である。