「ケータイ」と「マクドナルド」と「テレビCM」。

今日は久しぶりにマーケティングに関するエントリーを書くことにする。

実は、とあるご縁から、来月3日に開催される「JAGAT(社団法人日本印刷技術協会)」主催のカンファレンスで、「Web、ケータイビジネスを引っ張るコンテンツ」なる基調講演トラックのモデレーターをさせていただくことになった。

僕以外のメンバーは、創業者である津田さんの後継社長4トラベルの野田さん、ドリームビジョンの投資先でもあるビートレンド社長の井上さん。

今回のセッションのテーマは「クロスメディア」。

例えば、印刷物等のリアルメディアとWebやケータイ(モバイル)をどう活用するか?といったことに関して議論をする予定である。

そんなこともあり、昨日はモバイル・マーケティングの勉強および株主として投資先の事業に対する理解を深めるべく、ビートレンドが主催する「モバイルマーケティングカレッジ」なるものに参加した。

細かな話はさておき、僕はそこで「衝撃的な事実」に遭遇した。

知らない人はひとりもいないであろう「マクドナルド(日本法人)」は、2008年6月からケータイの公式サイトをオープンしたらしいが、なんと、開設から1年半強で、彼らのメルマガの登録者は「1,600万人」に達したらしい。

同じメルマガでもケータイの場合、メールが届くと待ち受け画面にアイコンが表示されることもあり、「開封率」はPCベースのメールの「約5倍」だという。

そう言われてみると、たしかに、僕もケータイにメールが届くと必ず開封する。

ところで、マクドナルドに話を戻すと、1,600万人のケータイメルマガ会員を持つということは「1,600万人」への「リーチ」が可能ということであり、乳幼児やご高齢の方々を除く日本の人口を「1億人」とすると、視聴率「16%」ということになる。

つまり、多少の無理を承知で言うならば、100本のメルマガの効果はTVCMを「1,600GRP(16×100)」流すような効果があるとも言え、1GRP=10万円(バブルの頃は、1GRP=15万円と言われいた)で計算すると、1億6,000万円分の効果があることになる。

因みに、マクドナルドはメルマガ会員を獲得するためのTVCMは行っておらず(違ったら失礼)、その告知の殆どは「店頭」で行われており、TVCMと較べればメルマガ会員獲得コストはかなり低いだろう。

また、メルマガ会員を獲得した後のコストは、ほぼ、メルマガを書く人の「人件費」だけであり、そうやって考えると、かなり費用対効果の高いマーケティング投資と言える。

もちろん、「フルカラー×音声×映像」のTVCMと「文字だけのメルマガ」を同一比較することは出来ないが、マクドナルドの認知率は「ほぼ100%」だということを考えると、認知率向上のためのマーケティング投資は不要であり、必要なことは「来店率の向上」と「リピート率の向上」つまり「CRM投資」ということになる。

そういう意味で、ケータイを使ったCRMは効果的だと思う。

因みに、この「モバイル・マーケティング」の成果として、九州地区では、チラシのコストが月間1億円削減できたらしい。

仮に、営業利益率10%だとすると、1億円のコスト削減は、10億円の売上獲得と同義である。

つまり、九州地区だけで年間「120億円」の売上増に匹敵する効果があったということになる。

マクドナルドのモバイルマーケティング投資額は知らないが、どう考えてもTVCM投資よりは安いだろう。

さて、ビートレンドのセミナーに出席しながら思考を巡らせた結果、僕の行き着いた結論は、「B2C」特にコモディティ商品のビジネスをしている企業のマーケティングWebサイトは「ケータイ(モバイル)」がメインにならざるを得ない、ということである。

今の10代、20代前半の「モバイル・プライマリー」な世代が社会の中核を占めるようになると、その流れは益々加速するだろうし、そのシェアはまだ4~5%程度らしいが、スマートフォンが普及するにつれ、マーケティングプラットフォームとしての「モバイル」の重要性が増すことは間違いない。

また、リアルの店舗を持っている企業は、ケータイを有効活用することにより、顧客とのタッチポイントとして「店舗」のもつ「意味(資産価値)」を大きく向上させることができる。

それはイコール、TVCMの凋落に拍車をかけることになると思う。