「リーダー」とは、人々を「奮い立たせる人」である。

さて、今日はこれから、約一年ぶりの「大阪出張」。

その前に、昨日の「竹中平蔵」氏のキーノートの内容をレビューしておこう。

以下、箇条書きに(「・」は竹中氏の発言。「→」は、それに関する僕の感想&考察 and/or データ)。

・2010年、「上海」がGDPで香港を超える。また、中国の国債発行残高は、GDPの「30%未満」であり、まだまだ「財政出動の余力」がある。しばらくは、成長を持続させることができるだろう。
 →「上海」は、いよいよ「世界の中心都市」へ。

・ドバイ、南欧、東欧等、世界経済のリスクが存在する。
 →「フラット化した世界」。グローバル経済には坑がえない。

・オーストラリアは直近の半年?で、金利を「3回」も引き上げている。
・また、Kevin Michael Rudd首相が、現在2,200万人の人口を「3,500万人」に増やすと発言。尚かつ、800万人の「移民受け入れ」を表明。さらに、一定以上(金額はメモできなかった)をオーストラリアに投資することを条件に「永住権」も提供する。住宅需要が増大し、経済が発展する。

・「バーゼル2」と呼ばれている「BIS規制(国際決済銀行による銀行の自己資本比率規制)」が強化される。メガバンクは「資本増強(増資)」が必要になり、不良債権化をミニマイズする(査定を厳しくする)べく「貸し出し」に慎重になるだろう(中小企業の資金調達が困難になる)。
 →だからと言って、「亀井静香」のようなバカげたことをしてはいけない。

・「子供手当」は「とんでもない政策(財政を圧迫させる)」。
子供が「3人」いる家庭には、年間約「100万円」が支給される。これが、高校入学まで支給されることになる(政策が続けば)と、なんと「1,600万円」になり、地方都市なら「家が一軒、建つ」ことになる。
 →東京で1,600万円では中古のワンルームマンションが精一杯だが、僕の出身地「福島県郡山市」であれば、小さな家なら充分に買える金額だ。
 →そう考えると「子供手当」は、実質的に、都会から「地方」への「所得移転」である。「税負担」「福祉」の「不公平」が発生する。資産価格が安い分、レバレッジが効く。

・今の日本は「50兆円の赤字(単年度)」。累積債務は「GDP(約500兆円)の約2倍。
消費税を「1%」上げると「2.4兆円」。「50兆円」を「消費税」で賄おうとすると税率は「25%」になる。北欧並みの「重税国家」になる。
 →スウェーデンの人口は「約920万人」。近年は移民が多いが、大半は北欧諸国が多く、同胞意識が強い。また、若者はかなりの割合で英語を話す。しばしば、北欧を見習えという意見があるが、日本とは「前提条件」が大きく異なる。

・「構造改革」が「格差」を生んだと言われるが、2005年(郵政選挙が行われた年)は「株価」が「42%」上昇し、失業者が「100万人減少」した。2009年は、株価が42%下落した。
 →グローバル化した経済は不可逆的であり、競争力がない産業を保護することは「時間とおカネの浪費」でしかないことは議論の余地はない。僕(当社)の投資先(イミオ)つまりベンチャーでさえ、海外の工場に生産を委託している。とどのつまり、グローバル経済とは「役割分担」である。
 →日本は「知的職業」と「重サービス業(百年コンサルティング鈴木貴博氏)例:SUICA,Edyや鉄道のダイヤ管理システム等、『資本投下』と『高度なオペレーションKnow-How』を必要とするサービス業)」に国のリソースを集中投下すれば、まだまだ成長できる。

・今夏の参議院選挙の後「3年間」は「国政選挙」がない。この間に「政策転換」をするべき。
 仏ミッテラン氏は大統領は就任後、9つ(だったと思う)の企業グループを国有化した(GDPの17%を国有化)。尚かつ、法律を改定し「就業時間を短縮」。つまり、実質的に「賃上げ」とした結果、仏経済は「深刻な不況」に陥った。しかし、その後、「欧州の統合のためにフランスは変わる(変わらざるを得ない)」と発言し、大きな「政策転換」をする。結果として、14年という「超長期政権」となった。
 日本は、そのことに学ぶべき。
 →それでもフランスは、重傷の「閉塞感」に苛まれている。それは「規制」が強過ぎるからだと思う。
 →サルコジ大統領は「アメリカ批判と金融規制派」だが、その裏には、このままでは「フランスは消滅する」という危機感があるように思う。フランスの「解雇規制」は日本のそれよりも厳しく、実質的に「社会主義」的な国であり、若者の失業率は「25%(と記憶)」に上り、日本以上に「世代間格差」と「既得権保護」が強い。然るに「イノベーション」が誘発されず、歴史・文化とファッション以外に国富を生み出すエンジンがない。エンジンという意味では「ルノー」があるとも言えるが、今後のグローバル経済をリードできる存在とは思えない。
 →「明治維新」は「グローバル化」であり、社会そのものの「イノベーション」だったはず。

・日本経済の活性化のための政策(ご自身の考え)は、以下の3つ。

1. 法人税率の引き下げ:
 日本の実効税率40%は、世界に類を見ないほど高い。先進国の平均は約25%。
 いきなりが無理なら、経済特区を創ってはどうか?
 沖縄にそのような構想があるが、官僚が複雑な条件を付しており、事実上、使えない制度になっている。

2. 羽田空港の大規模拡張とオープンスカイ政策:
 アジア諸国はすべて、そのような政策を取っている。例外は、北朝鮮と日本だけ。

3. 3つと言いつつ、3つ目はお話にならなかった気がするが・・・、
 ひょっとして、小泉さんとの久しぶりの再会での「エピソード」のことかもしれない。

以上が、竹中平蔵氏のキーノートの概要と僕の感想&考察である。

尚、オマケ的(実は、この話が重要なのだが)な話として、こんな「エピソード」を披露してくれた。

久しぶりに小泉さんと会ったそうだが、その時に、小泉さんが「久しぶりに読み返しているんですよ」と言ってみせてくれたのが「スマイルズの自助論」だったそうである。

このブログでも書いたので読んで下さった方もいらっしゃるかもしれないが、僕も昨年秋、苦悩の中で読み、勇気づけられた本である。

これでもか!これでもか!とシツコイぐらいに、逆境にあっても尚、自分を叱咤し、窮地に追い込まれても尚、希望を失わず、人生のどん底から這い上がるの人々を紹介し、頼りになるのは「自分」以外になく、「自助」こそが「最大のエネルギー」であるということを説いている本である。

また、竹中氏は、福沢諭吉の「学問のすゝめ」に触れ、こんな実例を引き合いに出し、ご自分の話を終られた。

<ここから>

福沢諭吉の「学問のすゝめは「350万部」ほど売れたそうです。当時の日本の人口は「約3,500万人」だったそうですので、なんと「10人に一人(子供とご高齢の方々を除けば、7~8人に一人だろう)」が読んだことになります。

そのぐらい素晴らしい本だったわけですが、最も素晴らしかったのは、「学問のすゝめ」を読み、一生懸命に学ぼうとした「日本国民」だったのだと思います。

ご清聴ありがとうございました。

<ここまで>