「社会構造の変革」と「予期せぬ成功」。

今日は、来年度(4月)から非常勤講師を仰せつかっている法政大学経営大学院(MBA)イノベーションマネジメント研究科の「最優秀プロジェクト」決定のための最終プレゼンテーションを拝聴させていただいた。

法政大学には、2つのビジネススクールがあり、4月からお世話になるイノベーションマネジメント研究科は、開設されてから、まだ5~6年目で、ビジネススクールの中では「かなりの後発」である。

それ故に、カリキュラムには工夫が施されており、修士論文(もあったかもしれない)の代りに「プロジェクト」と呼ばれる「事業プラン」の立案が義務づけされており、今日はその「最優秀賞」を決める発表会だった。

尚、最優秀賞の受賞者には、なんと、賞金「100万円(今回はふたりだったので50万円ずつ)」が贈られる。

僕は先日、今日のプレゼンテーションに進む人を決める「予選会」にも出席させていただいていたので、ある程度は、事業プランのレベル感を想像していたが、今日の最終発表プランは、僕の予想以上に素晴らしいものだった。

因みに、最優秀賞のひとりは「虎の穴 代表取締役社長 吉田さん」!!

「売上100億円」を超える企業を創り上げた方が学んでいるビジネススクール(MBA)なのである。

また、僕の知る限り、この手のビジネスプランの審査員(そういう僕も審査員を仰せつかったことが何度かあるが)は大概の場合、話がつまらないし、とにかく長いのに辟易とさせられる。

しかし、僕が言うのは大変生意気で失礼だが、今日の「審査員」の方々の「講評」は、どなたも素晴らしく、大変勉強になった。

その中でも記憶に残ったのは、藤沢久美さんが「ルワンダ」を訪れた時の話である。

彼女がルワンダのある小学校(と言っていたと思う)を訪れた際の最初の質問は、「How old are you ?」だったそうである。

彼女は「最初から年齢の質問かよ?」と思いつつ「41歳」と答えると、「じゃあ、あなたはもうすぐ死ぬよ」という返答が返ってきたそうだ。

ルワンダの「平均寿命」は「45歳」なのだという。

そのことを考えただけでも、日本人としてこの国に生まれたことだけで「幸せ」である。

藤沢さんが言っていたとおり、平均的な幸運が訪れれば、我々は「80歳」まで生きるのである(最近は『年金不安』もあり、長寿が『不安』になりつつあるのは皮肉な話だ)。

そして、そんな「成熟した日本」には、成熟した国に相応しいイノベーションがあるはずだと、講評を締めくくっていた。

彼女が副代表を務めているソフィアバンク代表の「田坂広志さん」が、何かにつけ、「日本に生まれたことだけで幸せなことだ」と仰っているが、今日の藤沢さんのひと言で、田坂さんが言わんとすることを、ある種の「リアリティ」をもって理解した。

また、講評の最後を締めくくられた元イーアクセス社長の安井さんが、他の審査員の先生方が仰っていたことを総括するような話をされていたことも印象的だった。

「このご時世を反映してか、各人のプランが良く言えば『リアリティ』がある反面、『社会構造(の変革)』にチャレンジしないで、『今あるものの、これとこれを繋いで』というものが多かったのが残念です」。

社会構造の変革にチャレンジしてきたイーアクセスの社長を務められていた安井さんだからこそ言える講評でもあった。

その一方、ドラッガーのいうとおり、イノベーションには「7つの機会」があり、最も多いのは「予期せぬ成功」である。

つまり、たまたま「タイミング」がよかったりと、僕自身のケースも含めて、自分では予期していないところに「成功」があったというケースが多いのも事実である。

さて、僕は、残された人生を、どう生きようか?

そのことを改めて考えさせられた。

ところで先程、ドラッガーBOTで、彼のこんな言葉を知った。

「人間にとって成長ないし発展とは、何に対して貢献すべきかを自らが決定できるようになることである」。

僕は46歳も残すところあと数週間となり、ようやく、その答えを導き出せそうな気がしている。