「百度(Baidu)」の「文化」。

Googleが中国市場から撤退したニュースは衝撃的だったが、変化の速いネットの世界では、その出来事すら既に風化されつつある。

宿敵?Googleが撤退したことで競合がいなくなった「百度(Baidu)」だが、とても素晴らしいカルチャーの会社らしい。

5つの領域において「百度(Baidu)カルチャー」が制定されているが、そのひとつをご紹介したい。

「事実追求」。

「事実に即して率直に議論し、誠実に取り組みます」。

そのポスターには、こんな解説が書いてある。

「事実は傾きが生じるものであるが、常に事実の根源に戻ろうとする。
すなわちそれは、事実を求めるために」。

なるほど、確かにそうである。

また、百度(Baidu)では、「インターンも机を叩く?」らしい。

「Baidu では権威などなく、ただ事実があるのみ。事実の前ではみんなが平等なのです」。

素晴らしい会社である。

今はYahoo! JAPANの子会社となった、どこかの会社の当時と似ている(笑)。

僕や山川さんに対しても、ビシビシと厳しい意見や批判が飛んで来た。

創業者だろうが社長だろうが関係なく、事実の前では平等だった。

さて「自民党」という事実から「民主党」という事実に傾いた日本。

近い将来、「事実の根源」に戻れるだろうか?

そして、事実の前では、相手が幹事長だろうが誰だろうが、「平等」に議論できる「政治」を実現できるだろうか?

期待したい。

追伸:中国では検索することを「百度する」というらしい。「百度」が「動詞」になったということだ。

「製造原価」と「カスタマサポート」。

数日前にTwitterでは書いたが、4月末に、MacBook Pro13インチと一緒に「HP(ヒューレット・パッカード)」のプリンターを購入した。

実は「キャッシュバック」キャンペーンだった(購入後90日以内に所定の手続きをすれば、購入費用が戻ってくる)。

そのプリンターを、ようやく、先週の金曜日に設定した。

「ワイヤレス(WiFi)」機能が付いており、なかなか便利なプリンターだが、ワイヤレス用のドライバーのダウンロードが上手くいかず、少々手こずった。

「HPカスタマー・ケア・センター」なる番号に電話をすると、予想どおり、なかなか繋がらない。

25分ほど「再ダイヤル」を繰り返した結果、ようやく繋がったと思ったら、こんどは「オペレーター」に繋がらない。

仕方なく、電話を「スピーカー」モードにしたまま、ウェブサイトを見ながら自力で解決しようとしていたところ、何とかUSB経由でプリントができるようになった頃、オペレーターの方に繋がった。

それまで「40分」。

しかし、Macユーザーは、専任の担当者からの折り返し連絡(サポート)とのこと。既に、17時を回っており、電話は翌日になる可能性がある(高い)という。

翌日、クルマを運転中に「電話」があり(僕の名前を間違えていた)、その日の予定は未定ながら、夕方に掛け直してもらうことに。

残念ながら帰宅前に電話があり、日曜日の朝、もう一度、電話をもらうことにした。

翌朝、「電話」をもらうと、何と10分で問題は解決。

今は「ワイヤレス」でプリントができる。とても快適だ!

ところで、このプリンター、「コピー」と「スキャナ」機能も付いている。

それで、たしか「12,000円」ぐらいだった!!

「Made in China」と書いてあるが、「製造原価」はいくらだろう?

製造原価よりも「カスタマサポート」のコストの方が高くついているように思う。

もちろん、購入した人が全員、僕のように電話をするわけではないだろうが、それでも電話はパンク状態で、オペレーターの方曰く、上層部に対して「増員を要求している」らしい。

僕はHPの売上も利益も知らないが、PCおよびPC周辺機器で「利益」を上げるには、製造原価も然ることながら、いかにして「操作が分かり易い」機器を造るか?つまり「カスタマサポート(販売管理費)」を最低限に抑えられるか?が、大きなポイントになっているように思う。

因みに、僕は「MacBook Pro」では数回、カスタマサポートに電話をしているが、繋がらなかったことはない。尚かつ、僕が知りたいことや問題は簡単に解決できた。

また、iPhone に関しては、「操作方法」について、一度もカスタマサポートに電話をしたことがない。

そんなことで、金曜日から週末にかけて、製造業(PC周辺機器)における「利益」と「カスタマサポート(コスト)」を考えた。

ところで、ご本人には何の罪もない担当者に、イライラをぶつけてしまったことは頂けない。

「申し訳ありませんでした」。反省しています。

この場を借りてお詫びします。

「執念」と「練習」。

今日はラソナの経営会議があった。

先月はどうしても都合がつかず欠席だったので、2ヶ月ぶりだった。

詳細はもちろん書く訳にはいかないが、上半期は、事業計画を大きく上回る利益をあげることができた。

新規事業にチャレンジしたが上手くいかず、かなりの痛手を負ったところにリーマンショックが重なって、一時期は本当に厳しい状態が続いていたが、よくもここまで回復したと思う。

要因は、とにもかくにも社長の岡村の「執念」である。

そして、もうひとつ大きな要因は、今までは両足を突っ込んで社業(経営)に邁進しているのは社長の岡村ひとりであり、僕たちはあくまでも「社外取締役」だったが、フルタイムの取締役として村元という人間が加わったことである。

彼の加入で経営が「見える化」され(科学的になり)、効率が良くなり、その結果、社員の士気も上がり、業績も上がるという、まだまだ予断は許さないものの、よいスパイラルができてきたと思う。

ここ3年のラソナの変遷を見ていて思ったのは、やはり、経営者がどれだけ自社の事業に「執念」をもって取り組めるか?ということに尽きる、ということだ。

それと、経営は「ひとりではできない(機能しない)」ということである。

余程のスーパーマンでない限り、社長以外に「経営者」の視点で物事を見ること&話ができる人間がいないと、会社に厚みはでない。

ところで最近、何冊か、以前に読んだ本を読み返してみた。

要するに「復習」をしてみたわけだ。

初めて読んだ時には気づかなかったことに気づいたり、理解の幅や深さが違ったりと、得るものが多々あった。

話は変わるが、ここ1ヶ月、我が子は毎日、「鉄棒」の「練習」をしている。

同じ年齢の子と比較して運動神経の発達がいまひとつの彼は、サッカー教室からドロップアウトしたことは以前のエントリーで書いたとおりだが、何でもいいから、本人が「自信」を持てるものが必要だということで、妻が鉄棒を教えたことが始まりだった。

我が家のリビングには、ミニチュアの滑り台とジャングルジムとブランコが一体となったものがあるが、ブランコのパーツを取り除くと、4歳半の子供にはちょうどよい高さの「鉄棒」に早変わりする。

その鉄棒で僕たちの子供は練習をしているのだが、最初の数回で上手に前回りができたにも関わらず、ある時、手を離して下に落ちてしまったのが「トラウマ」になってしまったらしく、その後しばらくは、怖がって全くできなくなってしまっていた。

それでも、なだめたり、叱ったり、励ましたりしながら、とにかく「練習」が「大切」だと言い続け、毎日毎日、練習を続けてきたところ、今ではジャンプ台がなくても、床から直接ジャンプして、鉄棒に登ることができるようになった。

彼に「どうして、できるようになったと思う?」と聞くと、「練習したから」という答えが返ってくる。

本は、2度3度と読んで初めて、その「本質」を理解でき、「栄養」を吸収することができるのだろう。

子供に教えるだけでなく、親も実践しないといけない。

「ユニクロ」の成長から学ぶこと。

11月初旬に、今年中に「8冊(月4冊)」の本を読むことを目標にしてから5冊の本を読んだ。

今読んでいる6冊目の本は、ユニクロ(FR)創業者の柳井さんの著書「成功は一日で捨て去れ」である。

あと3週間で「2冊半」。さて、読めるかどうか?

ところで、その柳井さんの本を読みながら、学んだことがある。立地による「出店戦略と運営」の違いだ。

当たり前のことかもしれないが、郊外のロードサイド型の店舗と都心の繁華街の店舗では、同じ「ユニクロ」であっても、店舗運営に求められることが全然違う。

郊外型のロードサイドの店舗は「目的買い」のお客さんが多く、買い上げ率は「60~70%」にも上るらしいが、繁華街、例えば、原宿店では「20%」のお客さんしか実際に買ってくれないという。

つまり、郊外の場合は、チラシを見て、この商品を買おうと思ってやってくるお客さんが多いのに対して、繁華街のお店は、目的を持って来店するお客さんは少数で、街に遊びにきた次いでにぶらっと立ち寄る人が大半であり、殆どの場合、商品を「手に取って広げる」ことはしても、買ってくれる率は低い、ということである。

つまり、「手に取って広げられた商品」をたたみ直す(整頓する)ためのコストがかかり、運営効率は悪くなるという。

これは、他の業態にも当てはまるのではないだろうか?

例えば、僕がやってきたインターネットリサーチに関して当てはめると、マクロミル(ボリュームゾーンを強みとしている)とインタースコープ(現ヤフーバリューインサイト:当時はミドルからハイエンドを強みとしていた)では、そういう数値は計測していなかったが、問い合わせをしてくる新規顧客(見込み顧客)の「購入率(発注率)」が、ユニクロの「郊外型」と「都心型」と同様、差があったのではないかと思う。

当時からそのことを考えて経営していれば、まったく違った経営戦略を採っただろうし、マーケティング戦略も組織の在り方も変えていたように思う。

ビジネスの正否は、当たり前と思われるちょっとしたことに気づくか否かにかかっているということだ。

それは、人生でも同じ。

「後悔、先に立たず」「覆水、盆に帰らず」だが、今の知識と精神だったら、あんなことはしなかったのに・・・と思うことが多々ある。

授業料としては少々高くついたが、そこで学んだ教訓を、これからの人生に活かしていこうと思う。

成功は一日で捨て去れ/柳井 正

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「主観(自分の価値観)」という「色眼鏡」。

僕の仕事は、投資先のベンチャー企業の経営者や社外取締役あるいは顧問契約等をしているベンチャー企業の経営者に対して、自分の拙い経験から得られた知見と市場分析を踏まえたアドバイスを提供することだが、客観的に物事を見つめ、相手にとって現実的なアドバイスをするのは、とても難しいと感じるようになった。

今から数年前のことだが、マッキンゼーを経て独立し、ご自分でコンサルティングファームを経営されている方が、こんなことを言っていた。

ある方が、米国の一流ビジネススクールでMBAを取得し日本に帰国して、マッキンゼーに就職したいと相談に来た時に、「君は主観が強いので、コンサルタントは向かない」と諭したという。

因みに、その方は、その後、起業し、見事に成功されている。

要するに、「主観(=自分の価値観)」が強いと、客観的な市場分析はできたとしても、それを踏まえた戦略立案(提案)において、どうしても、自分の価値観に照らして良い(価値がある)と思うことを言ってしまう、ということだろう。

僕にどの程度のコンサルティング能力があるかは別として、最近、その方の仰ることの意味が分かるようになった。

また、この話は、自分で起業する際にも当てはまると思う。

自分の想いが強過ぎると、どうしても、市場のニーズを冷静に見れなくなる時がある。

人間は得てして、自分の中に「仮説」があり、その仮説を支持する「情報(材料)」を集めようとする。

「熱く」ある必要があるのは「努力(取り組み)」であって、「機会とリスク」に対する見方は「冷たく(冷静)」あることが大切である。

20代の時にお世話になっていたコンサルティングファームに「冷たい状況認識と熱い対応」と言う標語があったが、その言葉の意味の本質を、今になってようやく「理解」できたような気がしている。

田坂広志さんが~「風の便り」ふたたび ~ というメルマガを送られているが、以前に読んだときには気づかなかったことに気づくことが多々ある。

田坂さんも、そういう意味で、送られているのだろう。

人生は最後まで勉強・・・ということか。

アスキー創業者「西 和彦」氏の講義。

昨日から4回シリーズで始まったアスキー創業者の西さんの講義を受講した。

約30名の受講生が真剣な面持ちで西さんの話を聴いていた。

売上700億円で利益35億円の会社にまでなったアスキーが何故、その後、転落の一途を辿ったのか?その原因とプロセスを分かりやすく説明してくれた。

話にリアリティがあり、とても勉強になったが、その中でも「私の反省」と題して話をされていた、

・出版は「繰り返し」ていくビジネス(週刊、月刊)なので、素人が玄人になった。
・経営の素人は玄人になれなかった。

ということは、とても腑に落ちた。

また、ベンチャーの条件として「3つ」挙げられていた中の「ユニークであること」という一言は、極々当たり前ではあるが、その本質を再認識することができた。

そして、「迷ったことは絶対にやってはいけない。途中で気がついたら、引き返すべき」という指摘には、自分自身の今までを振り返り、耳の痛い話だった。

教科書の話ではなく、自ら実践してきた人の話には説得力とリアリティがあり、聞く者の脳裏に深く浸透することを改めて実感した。

「雇われる」経営者。

昨日のことだが、20代の時に働いていた会社の同僚から、久しぶりにメールが届いた。僕が、残暑見舞いを兼ねて送った、あることのお詫び状に対する返事だった。

彼は現在、JASDAQに上場している会社の社長をしているが、創業者ではない。

ネットバブル華やかな頃は「創業経営者」が注目され、ビジネス・セレブリティがたくさん登場したが、自分で会社を興して経営者になったのではなく、「人から請われて」経営者になるというのは、自ら会社を創業するのに優るとも劣らず、素晴らしいことである。

僕の旧友の場合、創業者(実質的なオーナー)から請われて社長に就任し、見事にその期待に応えている。

創業者から請われて経営者をしているという意味では、同じくJASDAQ上場のセプテーニ・ホールディングスの社長に就任予定の佐藤さんも、その一人である。

彼は、新卒でセプテーニ(当時の社名はサブアンドリミナル)に入社し、30才そこそこで事業会社のセプテーニ社長に就任するに至っており、能力・人格共に素晴らしく、産業として歴史が浅く、その殆どが創業経営者であるインターネット関連業界において、稀有な存在である。

自分で会社を創業し経営者になることはもちろん素晴らしいことだが、他人から「請われて」経営者になるというのは、信頼の証である。

彼らのように、年功序列人事とは違うプロセスで若くして経営者になる人たちがもっと出てくれば、社会は変わるように思う。

さらに言えば、経営者になることだけが素晴らしいわけではなく、自分の「強み」を活かして「一流の仕事」をすることが肝要である。