「JAL」は好景気でも「赤字」だった。

2005年度から2008年度までの「JAL v.s. ANA」の「純利益(連結)」を比較すると下記のとおりとなる。

         JAL   ANA
2005年度  -47,243  26,970
2006年度  -16,267  26,722
2007年度   16,921  32,658
2008年度  -63,194  64,143

(単位:百万円/各社財務諸表より)

上記が物語っているのは、JALは、好景気の時期も「赤字」だったということだ。
即ち、「経営責任」以外の何物でもない。

その間、ANAは、きれいに黒字。

そんなお粗末な経営をしてきた「JAL」を、公的資金、つまり、我々国民の「税金」で「救済」する必要があるのか?

僕は、そんなことのために、貴重な税金を納めているわけではない。

百歩譲って税金の話は引っ込めたとして、では、きちんと黒字を計上してきた「ANA」の経営陣・従業員は、どう思うだろう?

そんな「ハンディ」をあげるほど、JALは無くてはならない存在なのだろうか?

「ハンディ」を背負って参入してきている「空のベンチャー」もいるのである。

JALが無くなって困る人は、はたして、誰なのだろうか?

そこを考えれば、自ずと答えは決まっていると思う。

追伸:マネックスの松本さんも、「私の税金はどこへ行く?」というタイトルで、同じようなことを書いている。是非、ご一読を。

「苦言」。

今日は、投資先の経営会議があった。

たぶん初めてだと思うが、あることで、投資先の経営者に「苦言」を呈した。

「苦言」を呈してみて初めて分かったことだが、ベンチャー企業の投資育成というのは、「忍耐」が必要な仕事である。

苦言を言われるほうも嫌だろうが、実は、言うほうも嫌なのである。

よほど偏屈な人でない限り、誰だって、憎まれ口を利きたくはない。

そのことを、実感した。

しかし、友人なりエンジェルとして出資するのではなく、「ビジネス」としてベンチャー投資をするのであれば、ただ単にお金を出すだけでなく、「愛情」をもって「苦言」を呈すること、そして、何よりも「適度な緊張感」が必要だということがよく分かった。

何事も、そんなに甘いもんじゃない。

自分に厳しくできなければ、当然、他人に厳しくできるわけがない。

「信念」と「覚悟」が必要である。

「戦略思考」とは何か?

~教育を通じてよりよい世の中に ”気づき” と ”感動”の 種まきを~ というスローガンを掲げている「ウィル・シード」というベンチャー企業がある。

創業者で社長の船橋さんとは数年前に知り合っていたが、昨日、船橋さん自らが開発した、創業時から続いているプログラムの体験セッションに参加させていただいた。

ひと言で言うと、固定観念に囚われず、フレキシブルに物事を考えるための「体験型研修」であるが、その体験を通じて実感したのは、中途半端に「材料」や「知識」があると、環境要因に敏感になるとか、自社(自分)の強みを突き詰めようとかという、いわゆる「戦略思考」が鈍くなるということである。

中途半端にというか、そこそこに出来てしまうので、危機感が醸成されにくいのだろう。

圧倒的に強い(総合力)か、ニッチに徹するか?(強みを明確にし、自分が勝てる市場と戦略を明確にする)が重要だということだが、それは、誰しも「知識」としては理解している。

でも、凡人は、実際に「体験」しないと、自分のものにならないのだろう。

とても勉強になった半日間だった。

船橋さんに感謝!!

「米ビッグスリー凋落」の理由。

GW真っ只中の今日、東名高速は「66キロの渋滞」になるほど、行楽客の「クルマ」で賑わったらしい。

ところで、その「クルマ」であるが、4/29(水)の日経新聞の「大機小機」というコーナーに、とても考えさせられるコラムが載っていた。

テーマは、「米ビッグスリーの凋落」。

そのコラムを書かれた記者の方は、過去に何人もの世界の自動車メーカーのトップと会う機会があったそうだ。

その方が言うには、米ビッグスリーの経営者と話をしていると、クルマを「どう売るか?」「どうやって利益を高めるか?」の話はどんどん口を突いて出てくるらしが、生産現場の泥臭い話や「どうやってクルマやエンジンを開発したか?」という話は殆どなかったらしい。

翻って日本の自動車メーカーの経営者はどうか?

トヨタ自動車名誉会長の豊田彰一郎氏は、社長・会長時代を通じ、新車開発の責任者に「エンジンの回る音に耳を澄まし、微妙な不具合を発見しろ」と説いたという。

スズキ会長兼社長の鈴木修氏は、「役員もみな毎日、工場の空気を吸い、自分たちが何者なのかを考える。だから本社を工場から話さない」と言うらしい。

ホンダに関しては、6月末に新社長に就く伊東孝紳氏を含め、歴代社長の全員が研究開発部門である本田技研研究所のトップ経験者だそうだ。

それと比較して、GM(ゼネラルモーターズ)のトップは、3月末に辞任したリチャード・ワゴナー氏まで4人中3人が、財務部門の出身という。

僕は、財務部門出身者が自動車メーカーの経営者になってはいけないとは思わないが、自社の商品である「クルマ」に対する「愛情」がなければ、そりゃ、上手く行くはずはないと思う。

かれこれ5年ぐらい前になるが、日産自動車のV字回復の立役者「カルロス・ゴーン」氏が日経新聞のインタビューに答えて、「本当に好きでなければ成功しない」と言っていたことを思い出した。

僕は、その記事を、デスクの横の壁に貼っておいた。

「好きこそモノの上手なれ」ということだろう。

先日のエントリーに引き続き、「自戒の念」を込めて。

キリンビール

先週の木曜日、前日に株主報告会も終わって一息ついたこともあり、久しぶりに「QM義塾社長大学」の勉強会に出席した。

今回のゲスト講師は、キリンビール前社長の三宅占二氏(現在は、キリンホールディングスの代表取締役副社長)。

1870年に、米国人のウイリアム・コープ氏により、「外資」として創業された「スプリング・バレー・ブルワリー」がキリンビールの前身だという話(初めて知った)や、ビール業界首位の座をアサヒビールに奪われた頃の話など、短時間ではあったが、とても貴重な話を伺うことができた。

三宅氏の話で最も印象に残ったのは、製造業というビジネスは、極めて多岐にわたる仕事によって構成されており、どの部署に就くか?によって、同じビール会社でも、全く異なる仕事をするということである。

それは、わざわざこうして書くまでもなく、当然のことと言えばそれまでかもしれないが、キリンが危機感を募らせて背水の陣?で発売した「のどごし生」の舞台裏として、「生産」「ロジスティクス」「営業(販売)」という異なる機能(部署)をいかにして結束させ、その結果として、ヒット商品を生み出したか?その話を聞いて、製造業を経営することの大変さを垣間見た気がした。

前職インタースコープ(インターネットリサーチ)でも、「営業」「調査設計・分析」「実査(プログラミング)」「R&D」「モニター管理」「総務経理」と、部署によって仕事内容は大きく異なり、しばしばセクショナリズムに陥ってしまう社内をどうやって「全体最適」化するかで苦労をしてきたが、当然のことながら、その比ではない。

そりゃ、規模も違うし、比較すること自体がおこがましいことだが、大企業を経営することの大変さをリアルに想像できことは、得るものが大きかった。

こういった機会が無ければ、キリンビール前社長の話を間近で伺うことなどあり得るはずもなく、パソナの南部さんをはじめ、「QM義塾大学」を運営されている諸先輩方に感謝である。

「5円」のビニール袋。

本日夕方、ちょっとした食事を買うために、久しぶりに青山にある「ナチュラルハウス」に入った。

商品を手に取りレジに並ぶと「袋はどうされますか?」と訊かれたので、「お願いします」と答えると、「5円かかりますが、宜しいですか?」との返事が返ってきた。

金額自体はさておき、予想外の答えにびっくりした僕は「結構です」と答えた。

尚、後で気がついたことだが、お箸もついていなかった。

もし、これが普通のスーパーだったら、考えられないだろう。かなりの割合で、お客さんが競合(他店)に流れると思われる。

では、なぜ、ナチュラルハウスでは、それが出来ているのか?

それは、「ロイヤリティの高い固定客」が殆どだからだと思う。

因みに、ナチュラルハウス、いちご1パックが、なんと「980円」もする!!

普通のスーパーの倍の値段である。

たしかに、「オーガニック栽培」や「生産者の顔が見える商品」とは言え、それにしても高い。

僕には、とても買えないが、ナチュラルハウスが提供する「付加価値」に対価を支払う人たちが大勢いるのである。

大手スーパーであれば、1枚1円するかしないかのビニール袋だろうが、何万人というお客さんを相手にしていると、バカにならないコストである。

「ブランドロイヤリティ」は、こういうところでも効いてくるということだろう。

儲かるビジネスモデルとは?

昨日から合宿で泊まっているホテルは、お世辞にもオシャレとは言えないし、おそらく築40年ぐらいは経っている。

にも関わらず、前回(ドリームゲート・アワード)も今回も、それなりにお客さんが入っている。

都心から近いという地の利を活かし、企業の研修(泊りがけ)やセミナー会場需要をターゲットとしているのと、地方からの家族連れや中国等からの観光客を取り込んでいる。

特に、銀座から近いというのは、かなりのアドバンテージである。

ベンチャー企業の経営者(起業家)の場合、とかく、最先端なことに取り組みがちだが、それらは、お金になるまでにかなりの時間を要することが多い。

インタースコープを創める時、ある方に「同じ人に、同じものを、何度も売る」のが最も儲かる、という極当たり前のことを言われたことがある。

まさに、そのとおりなのだが、当時の僕にとっては「目から鱗が落ちる」ような感覚だった。

「同じ人に、同じものを、何度も売る」とはいかないまでも、せめて、「同じ顧客(リピート客)」を相手にビジネスをするか?「同じ商品(標準化する)」を売るか?でないと、儲からないのは当然である。

毎回異なる顧客に、異なる商品・サービスを売っていては、効率が悪すぎる。

そういう意味では、ビジネスホテルの方がリゾートホテルよりも儲かるのは自明の理である。

「利益」をあげるための別の視点としては「独占」することであり、「ブランド」も、ある種の独占である。

このホテルに来ると、いつも、そういうことを考えさせられる。

日常にこそ、勉強がある。